女子63キロ級で田代未来(25=コマツ)が、2大会連続の銀メダルを獲得した。

準決勝で16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)金メダルのトルステニャク(スロベニア)を下したが、決勝では世界選手権2連覇の「絶対女王」ことアグベニェヌ(フランス)に11分11秒の死闘の末、延長で屈した。

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4度目の正直とはならなかった。田代は2年連続決勝で、過去1勝8敗の宿敵アグベニェヌに惜敗した。序盤から圧をかけ、指導2を誘発。大外刈りを立て続けに受けたが、必死に耐えた。延長で勝負を仕掛けた。左大外刈りをしのがれると、力ずくの払い巻き込みで返され、技ありを奪われた。11分11秒。死闘を終え、涙する絶対女王に抱きかかえられた。過去3大会は銀と銅メダル。またしても悲願の初優勝にあと1歩及ばなかった。

田代 目の前のチャンスを逃した。(相手が)雲の上の存在ではなくなったけど、追いついて追い越さないと(東京五輪で)金メダルは取れない。まだまだだな。

苦難の3年間だった。5位に終わったリオ五輪後に左手首を手術。長期休養して、自身の「弱さ」と向き合った。五輪でメダルを逃したこと思い返し、涙して自信を失いかけた。「全て空っぽ…」。迷走する中、57キロ級元世界女王の芳田司ら同僚たちが結果を残す姿を見て「また畳に上がりたい」という気持ちになった。柔道に集中出来ない時は、リオ五輪で負けた試合映像を見返して活を入れた。「これを忘れたのか」と己を奮起させた。

最大のライバルが成長させた。「打倒アグベニェヌ」を掲げ、五輪金メダルのために究極の心技体を追求した。しかし、それでも望みはかなえられなかった。今年も涙したが、1年後は歓喜の涙に変える。「次こそ日本武道館で勝つ」。11度目の再戦で真の絶対女王になるため、進化の歩みを止めない。【峯岸佑樹】

◆柔道の東京五輪代表選考 男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」による選考で決める。(1)世界選手権優勝者が11月のGS大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入りが決定(2)12月のマスターズ大会(中国)、来年2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出(3)最終選考は来年4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定する。