【上海(中国)=松熊洋介】欧州の壁は厚かった。世界ランキング48位の日本は同24位のチェコに76-89で敗れ、2連敗となった。エース八村塁(21=ウィザーズ)は初戦同様に激しいマークを受けながらも、2本のダンクシュートを決めるなど、チーム最多となる21得点をマークし、NBA選手としての実力を発揮した。日本は1次リーグ敗退が決定。5日の第3戦で同1位のNBA軍団、米国に挑戦する。

トルコ戦と同じようにやられるわけにはいかなかった。前半はシュート5本に抑えられてきた八村が第3クオーター(Q)に目覚めた。残り6分31秒、味方のシュートリバウンドを取ると、そのまま豪快に右手1本でダンクを決め、雄たけびを上げた。後半はシュート7本中、6本を決めた。終わってみれば、両チーム最多にあと1点と迫る21点。厳しいマークを受け、守備に回る時間も多かった中で、得点を重ねていった。

シュート成功率はトルコ戦の30%から66・7%。課題の3点シュートこそ決められなかったが、成功率は格段に上がった。八村が決めることでディフェンスを引きつけ、他の選手にシュート機会が生まれた。それでもワールドカップ(W杯)での対欧州勢初勝利を逃し「相手がリズムに乗った時に止められず、ずるずるいってしまった。ディフェンスで競ることはできたが、もっと強くいかないと」と反省を口にした。

さらに今大会意識してきたリバウンドでも完敗。特にオフェンスリバウンドは14本の相手に対し8本。全員が動かされ、連続攻撃ができなかった。もともと八村が評価されたのはブロックやリバウンドなどディフェンスの部分だった。ゴンザガ大時代にザイオン・ウィリアムソン(現ペリカンズ)らスター軍団のデューク大を破ったことで世界を驚かせた。自信を持っていたブロックやディフェンス力を発揮できなかったことに「そこを直さない限りW杯では勝てない」と厳しい表情を崩さなかった。

次戦は世界1位の米国。ラマス監督は「今の攻撃力では76点が限界。でもディフェンスの部分ではまだ成長できる」と可能性を示唆した。八村も「フィジカルも技術も上。気持ちで負けないようにしたい」と前を向いた。米国はスーパースターこそいないが、NBAの実力者ぞろい。10月から同じ舞台で戦うだけに、真価が問われる一戦になる。