日大が意外や苦戦も開幕2連勝した。昨季2部から復帰の神奈川大との対戦。第2Q早々に17-0とリードも、パスを止められずにドライブされて、今季初失点となるTDパスを許した。後半に1TDを加えた後もゴール前に攻め込まれ、追加点は阻むも圧倒とはいかず。第4Qに1TDを追加も31-7での勝利と、初戦に続く大勝とはいかなかった。

試合後、橋詰監督は開口一番「冷や汗をかきました」と苦笑いだった。青学大との復帰初戦は現行リーグで史上最多得点の89-0で、一昨年大学王者の実力を見せつける大勝だった。2戦目は一転して大苦戦。この試合も開始6プレー目にTDランで先制したが、続く攻撃はFG止まり、3度目はパントに抑え込まれた。

第2Qに4度目の攻撃でTDを追加したが、今度は守備がロングドライブされた。ミドルパスを次々と許し、9プレー目に10ヤードのTDパスを決められた。次の攻撃もインターセプトを喫して前半は17点止まり。後半も早々にTDパスを挙げたが、再びロングドライブを許した。得点こそ許さなかったが、爆発的攻撃力と鉄壁守備の日大らしさはなかった。

神奈川大は14年まで1部も不祥事で出場辞退して降格し、その後は2部で低迷していた。今季は5年ぶりの1部復帰も、初戦で日大の対抗馬と見られた桜美林大を破っていた。橋詰監督は「ちゃんとスカウティングもして、準備してきたが、うまかった」。相手の実力を認めながら「初戦にああいう勝ちで、その気の緩みでしょう」と話した。

この試合のスローガンは「枕戈待旦(ちんかたいたん)」で、中国の晋王朝一代の歴史を扱った晋書からの出典。戈はほこ=武器、旦は夜明けを指す。武器を枕にして夜明けを待つから、戦いの準備をいつも怠らないというたとえ。OL贄田主将は「まだ準備不足。BIG8と言えども侮れない。これを糧にしないといけない」と反省が口をついた。

エースQB林は前半途中でベンチに下がった。第4Qに2番手QB室井がプレー中にヘルメットが脱げ、1プレー退場になった。急きょ入った林だったが、あっさりと67ヤードのTDパスを決めてとどめを刺した。頭を丸刈りにしていた。「これまで1度もしたことない」という。青学大に大勝したが「内容はよくなかったので」との反省を示すものだった。

DL宮川副将はベンチで守備陣にアドバイスを送り、この試合でも出場することはなかった。日本のフットボール界をリードしてきた名門。日本一を奪回してこそ不死鳥復活となる。試行錯誤しながら、その日を目指しての道は、まだ歩みを始めたばかり。10月6日の3戦目は世田谷区下高井戸の母校グラウンドで駒大を迎え撃つ。