やっぱすげえわ。超新星・玉井陸斗(JSS宝塚)が、13歳0カ月で史上最年少優勝を飾った。

予選は456・90点で全体1位、決勝は自己ベストの498・50点で初V。世界選手権4位相当のスコアをたたき出した。今月11日に13歳になった中1が、94年寺内健(13歳11カ月)の年少優勝記録を更新。12歳7カ月で制した4月の日本室内選手権に続く「ダブル最年少V」となった。13歳10カ月で迎える来年の東京で、日本男子オリンピック(五輪)最年少出場の記録がかかる。

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ノースプラッシュ連発だ。13歳になった玉井が5本目に93・50点、6本目に93・60点と高得点を出した。2位に約73点差をつける異次元の初V。13歳は「出来は80点です。めちゃくちゃうれしいとかじゃない。『やったな』という感じ」と控えめ。記録を抜かれた寺内は「僕の時と内容とクオリティーが全然違う。比較は失礼。陸斗が抜いてくれてよかった」と笑顔だった。

優勝スコアは今夏の世界選手権4位相当。490・50点の4位選手は玉井と同じ13歳のウクライナ選手だった。その動画を見て刺激を受けてきた玉井は「(上回って)うれしいです」。ただ直後に「世界には厳しい審判がいる。日本の大会だけでなく、世界の大会でも500点近く出したい」と現実を見据えている。

世界選手権銅メダルは541・05点で、40点以上の差がある。ただこの日は審判の評価点を重視して、最高難度の109C(前宙返り4回半抱え型)などを抜いた。難易度を落とした構成での自己記録更新。馬淵コーチはメダルラインを550点と予想。「五輪で難易度を上げて評価点9点がとれれば、メダルはみえる」と伸びしろを期待した。

数々の記録を塗り替える玉井は、13歳10カ月で東京五輪を迎える。出れば、1932年ロサンゼルス五輪の競泳北村久寿雄(14歳10カ月)を抜く日本男子最年少記録。後ろ宙返りの入水を磨くために「悔し涙を流しても練習で屈しない」(寺内)というタイプで「大陸のように広い心をもってほしい」との願いから「陸斗」と名づけられた。最近5カ月で身長3センチ伸び、体重3キロ増えた少年は五輪最年少出場だけでなく、メダル争いに食い込む可能性がある。【益田一弘】

◆東京五輪への道 来年2月の国際大会派遣選手選考会(東京辰巳国際水泳場)で、上位2人のW杯日本代表に選ばれることが必要。その上で4月のW杯東京大会(東京アクアティクスセンター)で18位以内に入れば、五輪代表に内定。男子高飛び込みは内定者がいないために枠は2。

◆玉井陸斗◆ たまい・りくと。2006年(平18)9月11日、兵庫県宝塚市生まれ。3歳の時にJSS宝塚で競泳を始める。小1の時に飛び込みを始めて、小5から寺内らとともに練習する。今年4月に宝塚市立高司中学校に入学した。好きな食べ物は牛タンの焼き肉。146センチ、39キロ