フィギュアスケートのアイスダンスで来年1月から新カップルを結成する高橋大輔(33=関大KFSC)と村元哉中(かな、26)が9月30日、横浜市内で会見した。

村元のオファーに高橋が応える形でカップル結成となり、これが初仕事。大目標に22年北京オリンピック(五輪)出場を掲げた。10年バンクーバー五輪男子シングル銅メダルの高橋参戦で、日本ではなじみが薄い同種目の発展とともに、過去2大会でメダルを逃した五輪団体での表彰台という夢が膨らむ可能性がある。  

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高橋が、4度目の五輪を大目標として掲げた。村元と組むアイスダンスでの22年北京について「現役として22年を大きな目標に掲げることは大切なこと。簡単なことではないが、やるとなった時に一緒に決めた。(メダルも)ダンスはもしかしたら、というのがある。少しでも%があるなら」と口にした。男子シングル五輪銅メダリストが新境地への挑戦。「五輪は団体ができましたし、そこでメダルの可能性はカップルが強くなることが必須なので」。14年ソチ五輪から採用された団体を頭の中に入れた発言も出た。

異例の挑戦は、今年1月に村元からのオファーで始まり、7月に新潟で一緒に滑った。「興味深く、もっと知りたいと思った。ただアイスダンスは初心者なので『僕でいいですか?』と聞いた」と高橋。村元の「昔から憧れのスケーター。大ちゃん(高橋)の世界を一緒にダンスで体験したい」という熱意にも心を動かされた。もともと「引退後に趣味でやりたい」というほどアイスダンスが好き。高橋は「もっと身長が高い人、スケートがうまい人、もともとダンスの人と組んだほうが世界のトップにいけるのに、とちゅうちょした。何カ月かたっても、カナちゃん(村元)が『やりたい』と言ってくれて。そんなに言ってくれるなら」と転向を決断した。

日本フィギュア界にとっても、視野が広がる選択だ。日本は男女シングルの人気が高く、アイスダンス、ペアはまだ競技人口も少ない。高橋は「興味を持つ人が増えるといい。日本はシングルで上にいけないからカップル(種目)という感覚があるかもしれないが、海外は違う。カップルを目指してやることが引け目じゃなく(最初に)ダンスからやるとなったらいい」とした。

日本は五輪で06年トリノ大会から4大会連続でシングルのメダルを獲得。しかし団体ではシングルは上位も、アイスダンス、ペアの選手層が薄く、表彰台を逃している。高橋、村元組は未知数ではあるが団体メダルの鍵を握る存在となるかもしれない。【益田一弘】

◆五輪の団体 14年ソチから採用。10カ国が、男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目の順位点の合計で争う。ショートプログラム、ショートダンスで1位から10位までに10~1点が与えられ、合計の上位5チームがフリーの決勝に進む。順位は予選と決勝の合計得点で決まる。日本は14年ソチ五輪、18年平昌五輪ともに決勝に進出したが、2大会連続5位でメダルを逃した。

◆村元哉中(むらもと・かな)1993年(平5)3月3日、兵庫県明石市生まれ。5歳でスケートを始める。女子シングルで11、12年は全日本選手権10位。14年からアイスダンスに転向。クリス・リードと組んで平昌五輪15位。18年4大陸選手権銅メダル。リードとのコンビは18年8月に解消した。身長161センチ。