日本代表として12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した竹下佳江監督(41)率いる姫路が、金星をつかんだ。昨季女王の久光製薬に3-0(25-22、25-20、25-23)でストレート勝ち。今季2勝目(8敗)を挙げ、石井優希主将(28)ら複数の日本代表を抱える強豪を圧倒した。

ピンクに染まったアリーナに、竹下監督の笑顔が映えた。24-23で迎えた第3セット。最後の得点を姫路が手にすると、コート内で選手が次々に抱き合った。戦い抜いた教え子たちに近づき、監督もハイタッチの列に加わった。

「(チームカラーの)ピンクの波に押されて試合ができた。ディフェンスから攻撃に展開し、決めるべき人が決めてくれた。全員が良かったです」

V1となり、初めての地元姫路開催。チケットは完売し、多くの親子連れも訪れた。第1セット、貞包(さだかね)里穂(23)のサーブを起点に開始から8連続得点。試合で主将を務めた金杉由香(24)も「サーブで攻められた」と振り返る流れで主導権をつかんだ。相手の攻撃を何度も拾い、アタックでチーム最多23得点を挙げたブラジル出身のイブナ・マラ(29)らの決定力が光った。

V1で1年目となる今季は、試合前時点で1勝8敗。奪ったセット数5に対し、失ったのは24と苦戦は数字に表れた。16年に日本初のプロバレーボールチームとして発足した姫路を率いる竹下監督も、悩ましい時間を過ごした。この日の試合後、口にしたのは正直な本音だった。

「選手の時は(負けている状況で)自分がやれば、どうにかなった。今はどうやって選手たちを輝かせるか。指導者と選手は全然違う。選手たちが消極的にならないように、いろいろなところを見て、プラスになれる、何かを伝えないといけない」

1時間24分のストレート勝ちは、チーム全体に自信をもたらせた。勢いをつけ、真価が問われる今後の戦いへと向かう。【松本航】