東北(宮城)男子バレー部は佐藤兄弟がけん引する。今夏の全国高校総体で準優勝した勢いで、全日本高校選手権(春高)県予選決勝では3-0のストレートで仙台商を撃破。2年連続30度目の春高切符をつかんだ。同選手権は来年1月5日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開幕。東北の初戦(2回戦)は同6日で、U19世界選手権日本代表の山田大貴(3年)擁する清水桜が丘(静岡)と17年4強の習志野(千葉)の勝者と対戦する。

   ◇   ◇   ◇

佐藤兄弟が“熱男”でチームを先導した。笑顔のエース佐藤隆哉主将(3年)は、プレッシャーがかかる場面でも、強気のプレーで仲間を鼓舞。何度も熱いガッツポーズを見せた。「特設コートでも動じないメンタルの強さがチームに根付いてきた。前はミスしたら引きずる癖があったが、『次だ次だ』と、常に笑顔で楽しんでできた」。準優勝した高校総体は、6試合中3試合がフルセット。勝負どころで崩れ、気持ちの持ち方に課題があった。県予選に向けメンタルトレーニングに注力し、4戦ストレートと結果に結びつけた。

兄に負けじと弟空季(1年)も躍動した。4月から名門のレギュラーを担い、春高が懸かった初舞台でも堂々プレー。「先輩たちから『楽しんで』と言われ、緊張したが楽しくできた。兄は試合になると『自分に持ってこい』とエースという感じが出ているし、渡せば何とかしてくれる。だから必死にレシーブしようと思える」。中学の恩師の教えである“熱さ”を前面に出し、周りをもり立てた。家では兄弟でバレーの話はせず、ゲームや家族の話題でリフレッシュしている。

来年1月に開幕する春高に向けて佐藤隆主将は「県決勝ではサーブ、スパイクを思いきり打って逃げずにやろうという気持ちだった。自分たちは高さと攻撃力が持ち味。練習から試合だと思って、それに見合った守備力、サーブを身につけたい」。東北は佐藤隆と阿部晃也(3年)がダブルエースとして君臨。1人が崩れてももう1人いるのが最大の強み。さらに新星・佐藤空も加わり、攻撃力に厚みが増した。東北屈指の名門が17年ぶりの日本一奪還に挑む。【山田愛斗】

○…古川学園(宮城)は15年連続40度目の出場で悲願の初制覇を狙う。上沢沙織主将(3年)とキューバ人エースのバルデス・メリーサ(2年)を軸に初戦の横浜隼人(神奈川)を破り、勢いに乗っていく。上沢主将は「自分たちがレシーブでつなぎメリーサに送るために、レシーブ練習に力を入れたい。責任感を持って最後まで引っ張り、日本一になる」と宣言。圧倒した県予選ではサーブやネットタッチなどのミスが目立ったが、それを減らし、引き出しの多さと“最強スパイカー”メリーサで勝負する。