全国高校ラグビー大会は元日の1日、大阪・花園ラグビー場で3回戦8試合を行う。Aシード京都成章(京都)は31日、奈良市内で石見智翠館(島根)戦を前に調整練習を行った。初の日本一へ、創部34年目にして初のW主将がチームを引っ張る。

花園初戦で尾道の強力スクラムに冷や汗をかく苦戦から一夜明けた。「Aシードとか関係なく、1戦1戦のつもりなんですが」と言ったのはフランカー三木皓正(こうせい、3年)。「いや~焦りました」と言ったのは、プロップ西村優希(3年)。主将がこの2人。W主将はそろって苦笑いした。

創部以来、指揮を執る湯浅泰正監督(55)によると、主将が2人いるのは初めてのこと。同校は部員投票で主将を選ぶ。今回も総勢116人が票を投じた。「いつもこっちの予想通りになるのに、票が割れましてね」と湯浅監督。三木、西村を推す声がほぼ半々だった。「じゃあ、しばらく2人で、最終的にどちらかにと思ったら…ええ感じなんで」と自然の流れに任せ、W主将制になった。

利点を西村が説明する。「まず2人で話します。そしたら、自分の考えにないものが、わかる。話し合いの中で、よりいい判断ができる」-。三木はプレーでぐいぐい引っ張る。西村はこまめな声がけなどで全体に気を配る。前半で4点リードを許した30日の尾道戦も、タイプの違う2人がかじを取って、軌道修正。逆転勝ちを呼び込んだ。

石見智翠館とは、10月の練習試合(30分ゲーム)でトライ数1-0と接戦だった。2大会ぶり8度目の8強進出へ。厳しい試合が続くが、2人の主将がチームをまとめ、乗り切るつもりだ。【加藤裕一】