アイスホッケー決勝で、白樺学園が昨年王者の駒大苫小牧を3-0で下し、2年ぶり6度目の優勝を飾った。昨年12月の全道大会では準決勝敗退し、課題だった守備の甘さを改善するため、年明けから走り込みを徹底。1年から日本代表でプレーするGK佐藤永基(3年)を中心にした鉄壁の守りと、シンプルかつ素早い攻撃を武器に、過去31度優勝の猛者を完封し頂点に返り咲いた。

歓喜が爆発した。終了の瞬間、白樺学園の守護神・佐藤永はマスクを宙に投げチームメートと抱き合った。3-0の第2ピリオド16分から約1分半、反則が続き一時プレーヤーが3人対5人という状況下になっても、無失点で耐えた。総シュート数は相手の55本に対し白樺学園20本。昨年決勝で敗れた駒大苫小牧に雪辱し「味方が体を張って守ってくれたから自分も防げた。ゼロで抑え勝てたのは本当にうれしい」と喜んだ。

屈辱の敗戦からはい上がった。昨年8月の全国選抜で優勝。連続タイトルを狙った昨年12月の全道大会は準決勝で武修館に1-4と完敗した。パス回しにこだわり、自陣でのミスからパックを奪われ失点した。主将の佐藤尚輝(3年)は「回せるという甘さが出た。走って守るという原点に立ち返る必要があった」。夏の勝利は、チームに微妙な緩みを増殖させていた。

今大会までの約1カ月は過酷なメニューを科し、再起を目指した。全体練習最後の6キロランニングのコース途中にある、帯広市内の公園斜面を上り下りする“地獄坂トレ”を、1往復から5往復に。雪が残る斜面を駆け降りるときは、疲労で踏ん張りが利かなくなり、転げ落ち、雪と泥まみれになる選手が続出した。

12日までリトアニアで行われていたU-20世界選手権日本代表に佐藤永ら、1チーム最多となる4選手がメンバー入り。昨年末から15日まで、ほぼ主力抜きで練習しなければならないというハンディーも乗り越えた。湊谷匡晃監督(58)は「他の選手が、何とかカバーしようと頑張った結果」。敗戦、逆境を乗り越え、一丸で高校最強の称号を奪い返した。【永野高輔】