【カルガリー(カナダ)=矢内由美子】小平奈緒(33=相沢病院)が1分12秒65で女子1000メートルの今季初優勝を飾り、通算5勝目とした。500メートルと合わせてワールドカップ(W杯)通算31勝目。

日本記録保持者の高木美帆(23)は1分12秒90で4位だった。また、男子500メートルでは新浜立也(23)がコーナーでミスをしながらも34秒22で4位とまずまずの滑りを見せた。

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18年11月26日のW杯苫小牧大会以来となる1000メートル優勝に、小平の頬が自然とほころんだ。「久々に1000メートルで1番高いところに立てた」。表彰台の真ん中でカルガリー名物の「ホワイト・ハット」をかぶり、うれしそうにスタンドに手を振った。

理想に近いレース運びだった。スタートから一気に加速すると、中盤以降は同走のカチャノワ(ロシア)と競り合いながらスピードを維持し、やや苦しくなった最後もしっかりと粘って1分12秒65でフィニッシュした。

「入りも上がりも良かった。時差もまだ完全には取れていないので、今の状況では上出来」と及第点の自己評価だ。それもそのはず、入りの200メートル17秒44は、自己ベストを出した昨年のW杯最終戦(ソルトレークシティー)の17秒54を上回るスピードだった。ラスト1周のラップは体調が整えば縮められる性質のもの。次はもっといけるという手応えを得たのだろう。

今季前半はW杯500メートル、1000メートル、1500メートルの全レースにフル参戦してスタミナアップを図るなど、さまざまな試みを繰り返してきたが、試行錯誤には年末で一区切りをつけた。年明け以降は、今大会と次週の世界距離別選手権(ソルトレークシティー)の高速リンク2連戦を、最速を追求するための“帯期間”としてとらえて、レースそのものに集中。「ここでは『滑る』という覚悟を決めてやっている。自分の中にあるものを披露するだけ」と、迷いはない。

今回の勝利に対しては、あえて特別な意味づけもしている。久々の1位という結果を「自信にし、ターニングポイントにしよう」(小平)という考えだ。「謙虚すぎて自分を引っ張ってしまうのは良くない。自信にできると思わないと力は積み上がっていかない」と話す口調は力強い。

最終日の500メートル、そして、世界距離別選手権へ。一段階上のステップを踏んだ小平の目はさらにもう一段上を見ている。