柔道男子100キロ超級で逆転での東京五輪代表を狙う影浦心(24=日本中央競馬会)が3回戦で、五輪2連覇、世界選手権8連覇のテディ・リネール(30=フランス)に延長の末、内股すかしで技ありを奪って優勢勝ちした。10年9月世界選手権東京大会決勝で、上川大樹が判定勝ちして以来の白星となり、国際大会の連勝を154で止めた。

影浦は昨年10月のグランドスラム・ブラジリア大会以来、2度目の対戦となった。「絶対王者」の母国で大金星を挙げた。東京五輪に照準を合わせるリネールに対し、果敢に攻撃を続けた。身長差25センチの小柄な体格を生かし、懐に入って得意の担ぎ技などを繰り出した。延長40秒。疲れがみえた相手の一瞬の隙を狙い、足技で技ありを奪って勝利。ガッツポーズして、喜びを表現した。

東京五輪の代表争いでは、16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(日本中央競馬会)に差をつけられているが、この日のチャンスを狙っていた。5日の出国時に「(代表争いで)逆転は難しいが、リネール選手に勝ったら(選考は)もつれるかもしれない」と自身の可能性を信じ、闘志を燃やしていた。24歳の新星が、10年間「負けない柔道家」に勝利し、世界に衝撃を与えた。

◆影浦心(かげうら・こころ)1995年(平7)12月6日、愛媛県生まれ。小4で柔道を始める。愛媛・新田高-東海大-日本中央競馬会。18年GSパリ大会優勝。19年世界選手権男女混合団体優勝、同ワールドマスターズ3位。左組み。得意技は背負い投げ。趣味は名店巡り。父は元ラグビー選手、母は元バレーボール選手。179センチ、114キロ。