日本ラグビー選手会は16日夜、日本ラグビー協会が今月中のトップリーグ休止を決めたことを受け、公式HPなどで声明文を発表した。

日本協会は9日、日野に所属する選手が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことで、再発防止に向けた教育を徹底するため今月中のリーグ開催を休止すると発表。全24試合で、代替試合は実施しないことを決めた。昨年6月には、トヨタ自動車の選手も薬物で逮捕されていることを踏まえ、太田治チェアマンは会見で「日本ラグビー界の存在を揺るがす大きな問題。年度内に複数のチームから薬物関連による逮捕者が出たことの責任は重い。新型コロナウイルスの感染拡大とは切り離して考えている」と重く受け止め、今回の決断はあくまでも選手の薬物による逮捕だと強調した。

この対応を受け、日本ラグビー選手会の川村慎副会長(32=NEC)は声明文で「薬物使用はいかなる理由であっても決して許されないことであり、同じ選手として誠に遺憾です」とした上で、日本協会の休止発表に「リーグ内の全選手のプレー機会が失われました。選手たちはグラウンドで試合することが価値そのものです。公式戦へ向けて多くを犠牲にし、日々どれほどの想いでトレーニングに取り組んでいるか。また、その成果をファンの皆さんに観てもらう場所をどれほど待ち望み、楽しみにしているか。今回の判断は誠に遺憾であると同時に、こうした我々選手の想いを蔑(ないがし)ろにしていると言わざるを得ません」と怒りをあらわにした。

違法行為に関しては、毅然(きぜん)とした対応を取るべきとし、「違法行為に無関係なその他の選手については、通常通りのプレー機会が与えられるべきだと考えます。また、昨年6月の薬物問題発覚から今回の問題が起こるまで日本協会の再発防止は十分であったのか疑問であるにも関わらず、『リーグ休止』という処置は問題再発の責任の大部分を選手が負わされている形と言えます」と主張した。選手会としては、「問題再発における責任の所在を明らかにし、今後1年間、再発防止のための具体的な取り組みの説明、全選手、関係者への早急な薬物チェック実施後のリーグ再開を望みます」と訴えた。

改めて、選手会としても今回の薬物事件を真摯(しんし)に受け止め、日本協会や企業、チームからのコンプライアンス徹底の要請に協力し、独自のコンプライアンス研修も充実させ、改善に取り組む考えを示した。選手自身が自発的に考え、行動することで「ラグビーの価値をいち早く取り戻し、ラグビーファミリーをはじめ、社会の皆さんに競技しての魅力をご理解いただけるよう努めたいと想います」とつづった。