今夏、東北から九州の21府県で分散開催される予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)が、史上初の中止となることが26日、決まった。新型コロナウイルス感染拡大を受け、主催する全国高等学校体育連盟(全国高体連)が同日午後2時からウェブ会議方式の臨時理事会を開き、決定した。

当初は、延期前の東京オリンピック(五輪)閉幕翌日となる今年8月10日から24日までの日程で開催されるはずだったが、新型コロナの終息が見えず、全国に緊急事態宣言が拡大した中で中止論が強まっていた。そのため、全国高体連は5月25日の理事会を待たず、前倒しで開催可否を協議する方針となっていた。

無観客や一部県で一部競技だけ実施する規模縮小も検討はされたが、追加経費の問題や主催者の責任論、各県の代表選手が全国から集まる「人の流れ」発生を懸念。特に3年生にとっては高校部活動の集大成となる舞台であることから、秋以降への延期も意見としてはあったが、現在の休校対策も必要な中で大会を再調整することは極めて困難だった。

インターハイは1963年に新潟県で第1回大会が開かれた。以来、2010年の沖縄県で全国一巡を達成。今まで1度も中止になったケースはなかった。今大会は群馬、茨城、栃木、埼玉を中心に「北関東総体」として開かれる予定だったが、東京五輪・パラリンピックの影響で競技会場や宿泊施設の確保が難航し、21府県に広がった経緯がある。夏季は30競技で、選手や指導者ら約3万8000人が参加予定だった。

インターハイとほぼ同日程の8月10~25日で実施を模索している全国高校野球選手権(甲子園)の開催可否にも影響を与える可能性が出てきた。こちらは5月中に方針が出る見通しとなっている。

◆全国高校総合体育大会(インターハイ) 高校スポーツの総合競技大会。夏に陸上、水泳など30競技を実施する(冬はスキー、スケートなど)。各競技の全国高校選手権が1963年(昭38)に統合されてスタートし、第1回は新潟県を中心に行われた。開催地をほぼ持ち回りとし、全競技を実施できない場合は近隣県に振り分けてきた。負担軽減などを目的に2011年から複数の自治体にまたがるブロック開催となった。19年の参加選手総数は約2万8000人。主な現役の優勝者は競泳男子の瀬戸大也、陸上男子の桐生祥秀、柔道男子の阿部一二三ら、1年延期となった東京五輪の主役候補がズラリ。