新潟県長岡市のスポーツサイクル専門店「サイクルワークスFin,s(フィンズ)」店長の遠藤健太さん(39=県自転車競技連盟理事)が、自転車競技の本格的な屋内練習とバーチャルサイクリングアプリ「ZWIFT(ズイフト)」を融合させたオンラインゲームでの競技会を開催し、戸外での走行を自粛している競技者へ向け、インドアスタイルでの交流の場を提供している。

遠藤さんが競技者同士の交流の場に使用する「ZWIFT」とはスマートトレーラーと呼ばれる室内トレーニング器具「ローラー台」に自転車を取り付け、パソコンなどの端末と接続して自走することで画面上のコースを走っているような体験ができるバーチャルサイクリングゲーム。ローラー台はゲーム内の勾配をリアルに再現するため、全身にかなりの負荷がかかる。

遠藤さんは4月初旬から週に1、2回のペースで「新潟県人ZWIFTミートアップ」を開催。ゆっくり走行のロングライド(集団走行)や、タイムを競い合う本格派向けのレースなどエントリーコースは多種多様で、毎回約30人が参加している。ゲーム内ではチャット機能を通し、参加者同士が励まし合いながら競技を行う。遠藤さんは「バーチャルな世界ではあるが、同じ趣味の人たちがつながっていることが大切。自粛も緩和されてきたので、これがきっかけで交流の輪が広がれば」と笑顔を見せる。

自身は舗装路を高速で長距離移動する自転車「ロードバイク」の実業団レーサー。プロも参加する全日本選手権ロードレースには12年と19年に出場。海外レーサーも参戦するアマチュア界の“甲子園”、「ツール・ド・おきなわ」には10年連続出場中で10年の「市民210キロの部」では参加400人中12位でゴールするなど好成績を残す。現在は新潟県自転車競技連盟理事も務め、ジュニア世代の育成にも力を注いでいる。「新潟にはいい選手がたくさんいる。もっと強くなれる環境を整えたい」と話す。

遠藤さんはコロナ禍で中止になった県内トップライダー決定戦「新潟県自転車競技選手権ロードレース弥彦大会(5月31日)」の代替にあたる、ZWIFTによる独自大会を7月上旬に開催することを予定している。「県内トップは今年も決めたい。競技者に楽しみを与えたい」。逆境の中、競技者、そして主催者として県内サイクルスポーツを盛り上げる。【小林忠】

◆遠藤健太(えんどう・けんた)1980年(昭55)11月15日生まれ、長岡市在住。中学、高校ではサッカーに明け暮れ、長岡向陵2年時に選手権県大会準優勝。東京国際大卒業後、04年の中越地震を機に実家に戻り、家業を継ぐ。ロードレース「チーム フィンズ」に所属し、JBCF実業団シリーズE1が主戦場。

◆YouTubeチャンネル「STAFF KNTの自転車塾!!」 主に最新自転車やパーツの紹介、初心者・中級者向けの内容で番組開設から5カ月でチャンネル登録者は2500人を超え、総視聴回数は31万回を超えている。上級者向けのサブチャンネルも5月から開始している。