スポーツには力がある。そして、同じように本にも確かなパワーがある。新型コロナウイルス感染拡大で、社会や私たちを取り巻く状況、暮らしも大きく変わった。そんな新たな日常の中でも、アスリートや指導者は必死で戦いを続けている。

日刊スポーツでは、感受性も豊かなトップアスリートや指導者に「私の相棒書」と題し、ステイホームの自粛期間やこれまでの人生で触れて、力をもらってきた1冊を取材。5人の「相棒」紹介します。

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アーチェリー男子、武藤弘樹(23=トヨタ自動車)

『心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(長谷部誠著、幻冬舎)

サッカーのドイツ1部でプレーする長谷部誠さん(36=フランクフルト)の「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣」(幻冬舎)をオススメします。中学生の頃から愛読し、困難に直面するたび、読み返してきました。本の中から自分に必要な言葉を探し出し、試合に臨む上で良い準備ができるようになっています。

読書家ではありませんが、つらい時やメンタル的にしんどい時は必要に応じて本を読みます。慶大進学後、初めて1人暮らしをし、部活との両立で苦しみました。

そんな時、長谷部さんの本を読み返しました。前回読んでから、時間はたちましたが、改めて発見がありました。平常心で試合に臨む上で、普段からルーティンを作ることを心掛けるようになっています。

長谷部さんと同じく、試合前には好きな音楽を聞いて気持ちをつくります。長谷部さんもしていると知り、自分のやっていることが間違っていなかったんだと確信しました。

来夏に延期となった東京オリンピック(五輪)出場を目指しています。来年3月の5人が出場する最終選考会で、上位3人に入れば、代表内定となります。長谷部さんのように心を整えて、五輪初出場の切符を勝ち取りたいです。

◆武藤弘樹(むとう・ひろき)1997年(平9)年6月26日生まれ、愛知県あま市出身。中学1年の時にアーチェリーを始める。愛知・東海高在籍時に初めて日本代表入り。今年3月の2次選考会では、ロンドン五輪男子個人銀メダルの古川高晴に次ぐ2位で最終選考会に進出。趣味は1人旅。175センチ、75キロ。