2度の4大大会優勝を誇る世界10位の大坂なおみ(22=日清食品)が、23日に米ウィスコンシン州で起きた警官の黒人男性銃撃事件に抗議し、27日に予定されていた準決勝の同22位エリーズ・メルテンス(ベルギー)戦を棄権した。大坂は、準々決勝で同20位のアネット・コンタベイト(エストニア)に逆転勝ちを収めていた。

大坂は、自身のSNSに、切実な思いの声明文を掲載した。「多くの人が知っているように、私は明日、準決勝を戦う予定でした」と始まる同文は、「私は、アスリートである前に、1人の黒人女性です。そして、1人の黒人女性として、自分のテニスを見てもらうよりも、ずっと重要なことがあると思っています」と続く。

そして、今回の事件に対して「ヘドが出るような気持ち」と、強い言葉で不快感を表した。そして、「このようなことをいつまで続ければいいのか。いつ終わるのか」と、悲しく強い言葉で締めくくっている。

大坂のマネジメント会社は、「準決勝の棄権は、本人の意思として、黒人男性銃撃事件への抗議のため」と明かした。大坂は、新型コロナウイルスの感染拡大で3月から世界ツアーが中断する期間、「もうシャイは終わり。言いたいことを我慢するのは嫌」と、自身のSNSで積極的な発言を繰り返した。

5月に米ミネソタ州の黒人男性暴行死事件に、「何も言わないのは賛成しているのと同じ」と、抗議を発信し続けた。「スポーツ選手は政治に口出すな」という挑発には、「イケア(家具メーカー)に勤める人は、ソファの話しかできないのか!」と応戦した。

大坂以外にも、今回の事件への抗議で、26日にミルウォーキーで予定されていた米大リーグのブルワーズ-レッズが延期。また、米バスケットのNBAがプレーオフ3試合を延期するなど、多くのスポーツにも影響が出始めている。