文部科学省は11日、今月末で任期満了を迎えるスポーツ庁の鈴木大地長官(53)の後任に、04年アテネオリンピック(五輪)陸上男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏(45)を起用する人事を発表した。2代続けて五輪金メダリストが長官に起用される形となった。

室伏氏は現在、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会のスポーツディレクターを務める。国際オリンピック委員会(IOC)や各国際競技団体(IF)と向き合い、新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京大会の成功に向け日々、調整業務に当たっていた。その経験を生かしながら、東京大会成功に向けたスポーツ界のかじ取りを担う。任期は10月1日から2年。最長で5年まで再任が可能。

88年ソウル五輪競泳男子100メートル背泳ぎ金メダリストの鈴木長官は、15年10月に発足した同庁の初代長官に就任。東京五輪があるはずだった20年まで任期を伸ばしたが、新型コロナによる延期で五輪を待たずに任期満了となった。

鈴木長官は任期中、スポーツ界の度重なる不祥事に直面。超党派の国会議員からなるスポーツ議員連盟などと協力し、スポーツガバナンス(組織統治)コードを策定。各競技団体が高潔性を保つために順守する基準を示し、本年度から運用が開始された。室伏氏はこれらも引き継ぎ、スポーツ界の健全性を維持し続ける使命も課せられる。【三須一紀】