国際舞台でも活躍してきた永井優香(21=早大)が首位発進でラストシーズンを滑り出した。

SPは「エリザベート」。「母がこの曲が好きだと言っていて、1回くらい母が好きな曲で滑ろうかなと思って。親孝行? そうですね。いままで自分のやりたいようになんでもかんでもやってきたので、最後くらいはと思いました」と優しく笑った。

冒頭の3回転-2回転のトーループで柔らかに着氷すると、続く3回転ルッツでも加点を稼ぐ1本。持ち味の表現力を、鈴木明子さんの振り付けに重ねて、丁寧に滑りきった。「まずはホッとしてます。特別な思いで迎えたかったんですけど、練習で思うように調子が上がらなくて」と61・08点の演技を振り返った。

ジュニア時代から世界舞台で戦ってきた。14年の全日本選手権ではシニアに混ざり、4位と健闘した。15年にはスケートカナダで3位と表彰台にも上がった。現在は大学4年生。「自分のなかでフィギュアスケートは精いっぱいやったかなと思えた。まだ数カ月ある。最後まで向き合って、次の人生に、ステップに進んでいければ」と大学卒業に合わせての引退を決めている。

「なんか就職活動みたいですね」とほほを緩めた。演技後に行われたリモート取材は、カメラ越しに質問に答えた。「カメラをずっと見てしゃべらないといけないので」。それが就職活動と似ていた。一般企業への就職が決まっているという。

「いくつかあるんですけど、自分で生かせるかなと思うのは、どんな難しいことあっても諦めないで最後までやり抜くことはどんな道にいっても生かせるのかなと思います」。フィギュアスケートで学んだことを聞かれ、そう答えた。「最後のシーズンということで、大きなざっくりとした目標は、いままでお世話になった方に恩返しの演技ができればいいな、と。そのためにいま自分ができる目の前の課題に精いっぱいやります」。現役生活の最後まで、あきらめずに滑り抜く。