絶対王者の仙台育英が佐沼を54-0で圧倒し、25大会連続27度目の花園切符をつかんだ。ロック最上太尊(たいそん)が前半に先制トライを奪い、フランカー片山寛太は後半に2連続トライでダメ押し。フォワードの2年生コンビが終始躍動した。

「育英のタイソン」が先陣を切った。前半2分、ゴール手前10メートルラックから、最上が持ち出した。相手フルバックのタックルを振り切りながら、右中間ゴールに飛び込んだ。「トライする自信があったので、決めた瞬間はうれしかった」と先制パンチ? ならぬトライを喜んだ。父英嗣さん命名の「太尊」は、ボクシング元世界ヘビー級の名王者マイク・タイソンが由来。最上は「みんなにも『タイソン』と呼ばれているので、強い男になります」と笑った。体格も182センチ、100キロと本家のサイズに近い巨漢だ。

雪辱に燃える片山も力を発揮した。後半20分、ゴール手前5メートルラックから、中央ゴールに運び「自分の強みでもある、スピードで取り切れた」。同22分には、2本連続となるトライで突き放した。1年時はスタンド応援。聖地の芝生に初めて足を踏み入れることに胸をふくらませる。「今年は花園でプレーしたい。運動量であったり、できることを精いっぱいやっていく」と言葉に力を込めた。

そして学校側のバックアップも得て、コロナ禍による実戦不足解消にも一手を打つ。北海道と東北の代表校、関東からも数校招いて「花園前哨戦」の強化試合を検討している。丹野博太監督(55)は「会場と宿泊施設は手配済み。代表チームが決まり次第、声をかけたい」と明かした。感染対策を徹底しながら、最善を尽くす。【佐藤究】