女性アスリートに対する写真や動画による性的ハラスメントが社会問題となっている。SNSにみだらな文章や画像を拡散されたりする被害に、日本オリンピック委員会(JOC)が中心となり、各競技団体やスポーツ庁と連携して被害根絶に向けた動きが加速してきた。性的画像とみられる画像を頻繁にSNSに投稿している男性はどのような考えなのだろうかと疑問に思い、取材した。

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性的画像をSNSに投稿している男性は「この行為を止めるという選択肢はない」と主張する。規制が強まる日本から脱出し、今は中国に滞在しているという。

-なぜ撮影を続けているのか

セクシーな女性アスリートを嫌いな人はいないと思いますが、私のような人間は、その要素が強すぎるのだと思います。公の競技場で競技をしているアスリートや公衆の面前で踊るチアリーダーを撮影する行為は、本当に「迷惑行為」なのでしょうか?

-現役アスリートから被害相談が寄せられている

告発をするアスリートはいらっしゃると思いますが、入場料まで取って実施しているスポーツイベントを撮影する権利は、なんびとにもあるという信念は変わりません。撮影者にも表現の自由があります。

-なぜ販売しているのか

中国は広いですから撮影のために飛行機や新幹線も使いますし、競技やイベント期間に応じてホテルにも宿泊します。背に腹は代えられず、やむを得ず販売してわずかながらの収入を得て、それを撮影機材や旅費に充当するという自転車操業です。

-日本では対策に乗り出している

入場時のカメラ検査や警備員による取り締まりなどが厳格化しています。事実上、撮りたくても撮れない状況です。私は、これに嫌気がさして、現在、中国で暮らしています。

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記者の目 性的画像と思われる女性アスリートの写真をSNSに投稿する人たちは何を考えているのか。被害を訴えるアスリートの声をどう受け止めているのか。そのことが知りたくて、「加害者」の男性を探し出し、本音を聞いた。

確かに「性的画像」かどうかの判断は、個人の主観によって変わる。意見が分かれるときもあるが、男性の画像は明らかにそれと分かるような露骨なものだった。それでも、男性は表現の自由を盾に、撮影し、画像の販売を続ける。アスリートの声を無視するような振る舞いは理解に苦しむものだった。

JOCなど計7スポーツ団体は11月、被害根絶に向けた声明を連名で発表。盗撮や悪質な投稿は処罰の対象となりうるとしたうえで、該当すると思われるSNS投稿やウェブ掲載の情報提供を受け付ける特設サイトを設置した。純粋に競技を撮影するファンの楽しみを奪うことになるかもしれないが、さらなる規制、防止策もやむを得ないと感じた。

「もしも娘たちがこのような卑劣な行為にさらされているとしたら、どんな思いになっただろうか」。7スポーツ団体が声明を発表した際、2人の娘を持つある団体の代表が語った言葉が頭から離れない。【平山連】

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