前回大会準優勝でシード校の御所実(奈良)が“1回戦屈指の好カード”に完勝した。激戦区・近畿ブロックを勝ち抜いた報徳学園から、PGで手堅く3点先取し、その後に3トライで24-5。悲願の初優勝へ、最初のヤマ場を突破した。“脅威のノーシード”常翔学園(大阪第3)は76-0で日川(山梨)に圧勝。5大会ぶり出場の関西学院(兵庫)は43-0で古豪盛岡工(岩手)を完封した。

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御所実の竹田監督は、手堅かった。前半9分、相手反則で得た先制機。ゴール正面20メートルから、トライで5点を取りに行かずPGを選択。FB日野が3点を奪った。「普通なら(PGを)狙いませんが、25分ハーフなので。主導権を奪いたかった」と理由を説明した。

今年5月に60歳、教員で定年を迎えるベテラン指揮官は“花園の怖さ”を知っている。史上最多63校が出場する今大会は、1回戦のみ30分ハーフでなく25分ハーフとなった。しかも相手が相手。報徳学園は、伏見工の流れをくむ京都工学院、宿命のライバル天理を破った近畿ブロック代表だ。流れを失えば、命取りになりかねないと判断した。

指揮官の思いに選手が応える。プロップ小林は3-0の同15分、自軍ゴール前のディフェンスでターンオーバーを決め、逆転の危機を救った。同25分にはラックサイドを突くトライで、リードを広げた。「初戦で緊張して、最後はバテバテでした」とうれしそうだ。

難敵相手の初戦を越えたが、SO安田は「やりたいことはまだ50、60%しかやれてません」と言う。30日の2回戦は国学院栃木と対戦。初の日本一を手にし、還暦の指揮官を胴上げする-。目標へ、1歩ずつ近づいていく。【加藤裕一】

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