女子は桜花学園(愛知)が連覇を達成し、歴代最多23度目の優勝を果たした。ナイジェリア人留学生オコンコ・スーザン・アマカ(3年)が、決勝戦では大会最多となる53得点を記録するなど、89-65で東京成徳大高(東京)を下した。今日29日の男子決勝は準決勝を勝ち上がった東山(京都)と仙台大明成(宮城)の対戦になった。

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186センチのオコンコが、もっと大きく見えた。3人がかりのマークを苦にもせず、ゴールの枠にポンポンとボールを放り込む。圧巻は9点リードで迎えた第3クオーター(Q)。わずか2分半足らずで4連続得点。追いすがる東京成徳大高を突き放した。「点が入らずイライラしたが、アマカ(オコンコ)が驚異的なスコアを取ってくれて助かった」と、井上眞一監督が本音をもらした。

決勝戦での53得点は史上最多。大会の記録では17年に八雲学園の奥山理々嘉がマークした62得点に続く歴代2位。「昨日の試合は全然できていなかったので、今日は自信を持ってプレーした。優勝して笑顔で終わりたいと思いました。頑張りました」。オコンコは3年間ですっかり上達した日本語で振り返った。

来日した当初は「キャッチもできなかった」(井上監督)。日本語も理解できなかった。「1年のインターハイは何もできなかった。先生(監督)やチームメートに毎日パスしてもらって。毎日練習して伸びました」とオコンコは苦難の3年間を回想する。練習以外の時間に、教師とマンツーマンで日本語の勉強に取り組んだという。

コロナ禍の自粛期間は4月から3カ月に及んだ。実家に帰省する同僚たちも多かったが、オコンコは帰国するわけにもいかず寮に残った。「アマカが帰れないから」と一緒に残ったのが、1年から一緒にチームの主軸を担う長崎県出身の江村主将。この1年でずいぶん対話が増えた。2人の連係はコートの上のプレーでも際立った。

全6試合で決めたシュートは202点。1試合平均33・6点。卒業後は日本の大学に進学してプレーを続ける。「仲間と日本語でコミュニケーションが取れるようになって、1年の時よりずっとバスケットが楽しい」。好きな日本の言葉は「一期一会」「豆腐にかすがい」。連覇を達成したチームの進歩は、オコンコの3年間の成長の証しでもある。【首藤正徳】

◆女子ベストファイブ 江村優有、オコンコ・スーザン・アマカ、朝比奈あずさ(以上桜花学園)、山田葵、須田理恵(以上東京成徳大高)