前年度王者の壁は厚かった。仙台育英(宮城)は、桐蔭学園(神奈川)に計9トライを許し完敗。

最後までトライを狙ったが、相手の堅いディフェンスにノートライに終わった。SO青沼駿昌主将(3年)は「小さなミスから隙を突かれ、最終的に点差が広がってしまった」と肩を落とした。

チームを率いて31年目。花園へ25大会連続27度目出場に導くなど、強豪校に鍛え上げた丹野博太監督(55)は今大会限りで退任。指揮官にとって、仙台育英でのラストゲームとなった。「花園はすごく楽しかったです。この年齢になって、勝負できたのが良かった。監督として終わっただけ、悲しくはないですよ」と晴れ晴れとした表情で、振り返った。後任は丹野監督の教え子でもある、ニールソン武蓮傳コーチ(42)が監督に昇格する。

3年生にとっては最終学年で臨む、最初で最後の全国舞台だった。昨年2月に行われた東北大会新人戦では、5年ぶりの王者奪還を果たした。全国高校選抜の切符をつかんだが、新型コロナウイルスの影響で無念の中止に涙を流した。青沼主将は「せっかく優勝したのに、選抜に出場できず、悔しさしかなかった。その分、今大会こそは」と花園に人一倍かけていた。迎えた、富山第一との初戦は50-0で大勝。4大会ぶりの初戦突破を決めた。続く、青森山田との東北勢対決は42-13で制し、14大会ぶりの16強入り。ベスト8こそ逃したが、悔し涙を糧に「花園で年越し」を実現させた。

青沼主将は3年連続で花園を経験し「やっぱり(花園は)雰囲気もあって、特別な場所だと思います。各出場校が最後の生き残りをかけて戦いますし、各チームの思いが伝わる。その中で戦えたので、3年間に悔いはない」と胸を張った。卒業後は青学大に進学し、ラグビーを続ける予定だ。花園での経験を生かし、新たなステージでさらなる飛躍を目指す。