初優勝を目指す天理大(関西1位)が2季前の決勝で敗れた明大(関東対抗戦1位)に計6トライで雪辱を果たし、2大会ぶりの決勝進出を決めた。11日の決勝(東京・国立競技場)では、前回の準決勝で敗れた早大(関東対抗戦2位)に挑む。

暗くなった秩父宮に響いたのは、天理大の歓喜のさけびだった。前半3分、ラインアウトからのモールを起点に、最後はSO松永拓朗(4年=大産大付)の2人飛ばしたパスを受けたWTB土橋源之助(4年=光泉)が先制トライ。同24分に同点とされたが、29分にはフッカー佐藤康(3年=天理)がラック際を突いたトライで勝ち越した。前半を19-5で折り返し、後半は明大の粘り強い攻撃を受けながらも逃げ切った。小松節夫監督は冷静な口調で、80分間を分析した。

「本当にやってみないと分からないゲーム。ディフェンスを頑張ってプレッシャーかけて、アタックで点を取ることができました」

8月には新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)となり、約1カ月のチーム練習休止を余儀なくされた。夏合宿は中止となり、今回が今季の初遠征。例年の準決勝進出時は元日に移動だったが、遠征への慣れも考慮し、選手の要望を受けて、1日早い大みそかに東京入りした。フランカー松岡大和主将(4年=甲南)は「体の疲れを残さず、ベストパフォーマンスでやりたい。準備をしっかりしてできる」と感謝。前半からギアは全開だった。

この日、スタンドには控えの4年生部員が陣取った。部員全員の応援は自粛し、最後の練習となった大みそかには、松岡主将が「選ばれなかったメンバーのためにも、勝たないといけない。準決勝、絶対勝つぞ~!」と声を張り上げた。試合を終えた松岡が言った。

「ラグビー部員全員の勝利だと思います。(コロナ禍で)関西の辛い思いをしてきたメンバーの思いも背負って、優勝したいです」

決勝まで9日。もう1度、天理の地で準備ができる。最高の状態で悲願の頂点をつかみ取る。【松本航】