京都成章(京都)がついに初優勝に手を掛けた。東福岡(福岡第1)から、大型ロック“ジャイアン”本橋拓馬(3年)の先制劇など4トライ。FB小林修市(2年)のタックルで“逆転サヨナラ負け”の危機をしのぎ、24-21。東福岡に花園3度目の対戦で、4度目の準決勝で、ともに初勝利。一気に壁2つを破った。桐蔭学園(神奈川)は大阪朝鮮高(大阪第2)を40-12で破り、戦後6校目の連覇に王手をかけた。決勝は9日午後2時5分開始。

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攻めて、守って、最後は気持ちだった。京都成章のFB小林が走った。3点リード。後半の時計表示は30分を過ぎ、ロスタイムは1分。敵陣から東福岡WTB西端に抜け出され、ゴールに迫られた。トライを許せば、サヨナラ負け…。「焦った。走らな」。右タッチライン際を行くターゲットに追いつき、夢中で押し出した。ノーサイドだ。

屈辱を歓喜に変えた。前日4日、奈良市内での練習に96回大会準々決勝で東福岡に逆転負けした先輩4人が激励に来た。あの試合、残り19分で12点リードだった。「“勝った”と思った。それが隙やった」と1人が言い、1人が「勝ってええねんで。俺らは守りに入った。最後まで攻めてくれ」と言った。

花園で4度目の準決勝。もう壁を越える力があった。昨年度に部員が初めて100人を突破、現在123人に増えた。FW平均体重が今より約6キロも重い超大型FWを擁した昨年度は力勝負で8強止まり。現チームは「スキル、戦術、いろいろ必要だった」と湯浅泰正監督(56)が言う。

今大会期間中、部員中心で約2時間半のミーティングを重ねた。歴代チームで初の自主性を見せ、スタメン、リザーブの差のない登録選手30人全員で戦える集団を作り上げた。

東福岡に勝つために、持てる力を出し切った。ロック本橋は前半8分、FW勝負で先制トライを決めた。控えNO8堀田が相手ラインアウトを分析。194センチの田島だけに狙いを絞った。前半28分、BKの展開力を生かし、WTB中川が決めたトライは、ハーフライン付近の敵ラインアウトを本橋がスチールして始まった。後半23分には相手ラックからターンオーバー、SH宮尾がドンピシャでパスを出し、フランカー四宮が飛び込んだ。

花園で初めて東福岡に勝った。湯浅監督は「ただ子どもたちをほめてやりたい。自分は“やったな”というだけで。なんか冷静で」と笑って首をひねった。「楽しくて、うれしいゲームで、あっという間の時間でした」が本音だ。決勝は桐蔭学園。花園で1度戦い、97回大会準々決勝で負けた。初の決勝の舞台で、東福岡と同じ、越えるべき壁に挑戦する。【加藤裕一】

◆両校の花園対戦メモ 18年1月3日の第97回大会準々決勝で対戦。初めてAシードとして出場した京都成章が、14-36で敗北した。開始2分にCTB西川虎が先制トライ。前半を14-14で折り返したが、激しい雪が降る後半に、桐蔭学園が3トライを決め勝利した。

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