大阪朝鮮高は「使命」を帯びて戦っていた。試合後、冷静な権晶秀監督(39)が言葉を詰まらせ、涙を拭った。

「17、18(歳)の子どもたちが、自分のことだけじゃなく、学校や後輩のことを考えて…。本当に立派だったと思います」。3度目の準決勝が実力を証明する。ただ…部員はマネジャー2人を含む41人。3年生が引退した後は、選手18人という現状がある。

選手が決めたスローガンは「使命」。NO8金勇哲主将(3年)は「格好いい朝高ラグビーを見せたい」と誓い、その背中で新たな仲間を増やそうという思いがあった。この日、2度先手を奪われながら、前半を12-12で折り返した。低いタックルで王者の出足を止めた。だが、後半3分に勝ち越しを許し、6分には相手陣からつながれ失点。FB金昂平(3年)は「悔いはないけれど、勝ちたかった」とうなだれた。

それでも10大会ぶりの4強。功績は色あせない。権監督は「全力で戦った。胸を張ってほしい」。聖地で「使命」を遂行した選手をねぎらった。【松本航】