全国高校ラグビー大会は、ともにシード校の桐蔭学園(神奈川)と京都成章が決勝に進んだ。桐蔭学園は2大会連続3度目、京都成章は初優勝を狙う。

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大阪・花園ラグビー場近くで居酒屋「花園ラグビー酒場」(大阪府東大阪市)を切り盛りする東屋あさ子さん(73)も、9日の決勝を心待ちにしている。元日本代表ロックのトンプソン・ルーク氏(近鉄アドバイザー)らラグビー関係者から「おかあさん」と慕われている名物おかみ。いつも大会期間中は活気にあふれる店も、コロナ禍で客足が遠のいた。6日、取材で店を訪ねた。

店内は4つの大テーブルの横に、スタジアムのベンチを思わせる鉄製のシートがあるだけ。壁にはびっしりと選手のサインや強豪校の名が入ったペナントが張られている。「花園で戦った選手や観戦したファンが、その足でここに来るの。ラグビーの話で盛り上がるのを見るのが楽しくてやめられません」。開業25年目を迎えた。

100回記念大会は、コロナ禍で無観客。例年なら現地観戦をした後、店を開けるというが「保護者やラグビーファンと再会できるのが楽しみなのに、今年はコロナでみんなアカンくて…」と深いため息をついて嘆いた。

9日の決勝戦で連覇を目指す桐蔭学園と、初優勝がかかる京都成章が戦う。関西勢の活躍に、自然と心が高鳴るといい「勝っても負けても悔いが残らないよう頑張りや」とエール。収束はまだ見通せないが、いつかまた、試合をさかなに選手や関係者と盛り上がりたいと願う。コロナ禍でも、ラグビーとともに、いる。

【平山連】(感染対策をして取材しました)