桐蔭学園(神奈川)が京都成章(京都)を32-15で下し、前回大会に続けて優勝。史上9校目、戦後では6校目となる連覇を達成した。東日本勢では、第73回大会(1993年度)と第74回大会(94年度)で優勝した相模台工(現・神奈川総産)以来となる快挙。「西高東低」と言われてきた高校ラグビー界で、「東高西低」へと勢力図を定着させる確かな一歩を築いた。

前半2分、PGで先制点を献上した。だが、同19分、ゴール前の中央ラックからロック青木恵斗(3年)が持ち込み逆転トライ。ゴールも成功させた。さらに、同25分、PGで突き放した。しかし、終了間際に追いつかれ、10-10で折り返した。だが、後半は3トライなどで地力の差を見せつけた。

新チームは例年なら2月の関東新人戦を皮切りに、3月の選抜大会、5月のサニックスワールドユース交流大会と実戦を積む。公式戦は年間40試合近く行うことになるが、新型コロナウイルスの影響で今季は半分以下にまで減った。全体練習が再開できたのは7月はじめで、約4カ月間自粛を余儀なくされた。

それでも、現状に満足せず常に新しいものを取り入れることをやめなかった。自粛期間中を支えたのは、プロ野球の広島OB黒田博樹氏らを指導してきた「パフォーマンス・コーディネーター」の手塚一志さんだ。15年以上前から交流がある藤原監督から依頼を受け、独自に開発したトレーニング法をオンラインで選手全員に伝授した。

四つんばいになって地を這うように進んだり、腰にチューブを巻いた状態で引っ張ってもらい走ったり。骨盤や体全体を刺激するメニューを教わり、選手たちも効果を実感した。ロックの青木恵斗(3年)は「細かいステップを刻んで、うまく走れるようになりました」と手応えをつかんだ。

ただ、個人強化はすぐにチームの結果に反映されなかった。昨年11月の神奈川県予選決勝では苦戦を強いられた。東海大相模に2点差で辛勝。花園出場権を獲得したが、試合後の選手の表情はさえず。自分たちの強みやどうプレーをすべきか、15人の意識にはバラツキがあるように見えた。

それでも県予選とは裏腹に、花園では初戦から快勝が続いた。重量級FW陣や伝統の継続ラグビーといった強みを理解し、相手に左右されず攻勢をかける。速いテンポでボールをつなぐシーンも試合を重ねるごとに増え、選手も指揮官も変化を感じていた。試合だけではない。藤原監督は「ミーティングでも積極的に発言する選手が増え、決勝前には選手たちだけで議論ができていた」。

2連覇は決して偶然ではない。NO8佐藤健次主将(3年)は言う。「相手ではなく自分たちの戦いにフォーカスする。それができたからこそ結果につながった」。強みを理解して信じ続けた先に、2連覇という偉業が成し遂げられた。【平山連】

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◇決勝戦アラカルト 

▼初の6試合V 1回戦~決勝戦が最大6試合の大会(50、60、62回、64回以降)で、6戦した優勝は初めて。過去の優勝校はすべて2回戦からで5戦だった。

▼戦後6校目の連覇 26回大会以降。過去に秋田工(27~29回=3連覇、31~32回、35~36回)目黒(52~53回)相模台工(73~74回)啓光学園(81~84回=4連覇)東福岡(89~91回=3連覇、90回は桐蔭学園と両校優勝)。戦前に同志社中(3~7回=5連覇、9~11回=3連覇)京城師範(13~15回=3連覇)撫順中(21~22回)がある。

▼神奈川勢が京都勢に1勝1敗 過去に85回大会の伏見工36-12桐蔭学園。

▼神奈川勢6度目V 内訳は桐蔭学園3度(90、99、100回大会)相模台工2度(73、74回)慶応1度(34回)。