全国大学ラグビー選手権で2連覇を目指す早大(関東対抗戦2位)が10日、東京・上井草で翌11日の決勝(東京・国立競技場)に向けた最後の練習を行った。ファイナルに残った2校にだけ与えられる、最も長いシーズンのラスト練習。天理大(関西1位)との決戦へ、選ばれた23人とメンバー外の4年生で入念に展開の形やセットプレーを確認した。

前日9日に発表された先発フィフティーン。2日の準決勝帝京大戦から1人、入れ替わった。CTB平井亮佑(4年=修猷館)が約1カ月半ぶりに復帰。天理大の学生NO・1CTBシオサイア・フィフィタ(4年=日本航空石川)を止める大仕事に挑む。

昨年11月23日、関東対抗戦の慶大戦で右足首を負傷した。選手権での復帰を目指しながら、年内も、年明けの帝京大戦も間に合わなかったが、ようやく。その舞台が決勝だった。卒業後は一般企業(ゼネコン)に就職するため、第一線から離れる。昨年までの3年間はメンバー外で、最初で最後の大一番へ、平井は「自分の強みは接点。前に出て(フィフィタに)考える時間を与えないようなディフェンスをしたい」と静かに闘志を燃やした。

起用した相良南海夫監督(51)も「縦に強いし、4年間やってきた」。ここ2戦、昨年度の全国高校大会(花園)を制したスーパールーキー伊藤大佑(1年=桐蔭学園)が同ポジションで先発していたが、12番を平井に戻した。「4年間と言っても、4年生の思い、というものに期待するつもりはない。チームの中でユニットとして動く時、平井の方が一日の長がある」と戦力として送り出す。もちろん、伊藤に対しても「いつから(投入する)か分からないが、大祐にはアタック力がある。より攻撃的に行きたい時に」と期待をかけ、要所での交代プランも当然、頭に入れている。

最終学年でAチームの公式戦デビューを果たした平井は、福岡の進学校から1浪の末、合格した。努力家のラストマッチ帰還にチームの士気も高まっている。タレント軍団の中、一般入試組の星となった男の武器は、矢のような推進力だけではない。諦めることのない、食い下がる守備こそ持ち味だ。「大祐は、ランニングスキルなど僕にはないものを持っている。でも、僕には僕の強みがある。それを出せたら」。初の国立で背番号12が燃え尽きる姿は見逃せない。【木下淳】