4月からニッカンスポーツ・コムでは8日、18日、28日の「8」がつく日に、NBAウィザーズの八村塁(23)に関するコラムを新連載。第1回は、八村の飛躍を支える“先輩選手”の存在についてリポートする。

◇  ◇  ◇

NBA2年目のシーズンを送るウィザーズの八村が順調な成長曲線を描いている。右肩の張りで2試合欠場し、7日(日本時間8日)の復帰戦では9得点にとどまったものの、欠場直前まで自己最長となる11試合連続2桁得点。3月30日(日本時間31日)のホーネッツ戦では自己最多に並ぶ30得点をマークした。

飛躍の要因の1つが、今季加入したラッセル・ウエストブルックの存在だ。MVP受賞経験もあるスター選手は八村について3月上旬、「高い能力を持っていて、コート上でいろいろなことができる。相手のポイントガードからセンターまでを守れ、彼の調子が良ければチームも好調になる」と評価。若手選手が安定して能力を出し続けることは簡単ではないとも前置きしたうえで、「リーダーとしての自分の役割は、毎晩の試合で塁からエナジーを全開に引き出すこと」と力を込めた。

その言葉通りにウエストブルックは強いリーダーシップを発揮し、若いチームを鼓舞してきた。3月18日のジャズ戦ではタイムアウト時に八村を呼び止め、身ぶり手ぶりを交えての個別指導を即席で実施。身体を張ったプレーを展開する際にボールを保持する位置について熱心に助言した。八村によれば、この日に限らずコート内外で有意義なコミュニケーションを交わしているという。

面倒見が良く頼りがいのある兄貴分のことを、八村はシーズンが始まったころからセンパイ(先輩)と呼んでいる。その理由については「彼も結構日本のカルチャーが好き。僕にとって彼は先輩って感じだったので、そう言い始めた」。対となるコウハイ(後輩)という言葉は先月末時点でまだウエストブルックに伝えていないそうで、「これから教えようと思ってるし、そう呼んでもらえるようにしたいですね」と笑顔。9歳違いの2人の良好な関係は、今後ますます深まっていきそうだ。【奥岡幹浩】