ヤマハ発動機の堀川隆延監督(47)は、競技生活に幕を下ろした五郎丸歩(35)におわびの言葉を伝えた。

24日、東京・江戸川区陸上競技場で行われたトップリーグ(TL)のプレーオフトーナメント2回戦でクボタ(紅組3位)に12-46で敗戦。一発勝負のため、チームの敗北に伴いラスト試合となった。

五郎丸は、右脚肉離れのリハビリ期間にもかかわらず、前日23日の全体練習にも参加して仲間を鼓舞したという。指揮官は「最後の最後まで五郎丸らしく、チームのために体を張り続けてくれた。今日の結果は本当に申し訳ない…」と唇をかんだ。

五郎丸とは同じ早大出身で、ヤマハ発動機入団時も監督だった。これまでを振り返り、最も感動したのは2010年。リーマン・ショック後、チーム縮小の波が押し寄せた際の行動や試合への取り組みだった。多数の選手がチームを去る中、五郎丸は素早く残留を表明。同9月のリーグ初戦NEC戦(29○14)では、ペナルティーゴール(PG)8本を決めた。勝利にこだわる姿勢を背中で示し「五郎丸のPGで勝った試合。一番思い出深い」。

15年W杯では日本代表入りし、ゴールキック時の独特なポーズで時の人となった。日本中の誰しもがポーズをまねた。そのW杯直前のキャンプを見て、代表から外れる気がした。パフォーマンスが上がっていなかった。その読みは良い意味で外れた。「監督のエディー・ジョーンズから代表チームでの必要性を訴えかけられたようです」と明かした。

日本代表を経験し、人として成長もみせた。背中で示すタイプと公言も、実は面倒見が良いという。チームを1つにするため「率先して後輩らを酒席にうまく誘ってましたね」。

引退については1年前から話し合いを重ねた。「まだ(プレー)できるのでは」と何度か進言。将来的なことも話し合い、ブレない男の意志に沿った。「日本にラグビーを知らしめてくれて、ありがとう」。指揮官は感謝の言葉を贈った。【倉橋徹也】