1984年ロサンゼルスオリンピック(五輪)銅メダル、04年アテネ五輪銀メダルの山本博(58=日体大教)が、壮年男子の部(40歳以上)で2年ぶりに優勝した。

一般男子の部と合わせて優勝は21回目。自身のパフォーマンスは納得のいかない出来だったが、「久しぶりに優勝を味わえて良かった」と振り返った。

予選ラウンドは643点。2位と20点以上差をつけ、18人中トップで通過した。トーナメント戦でも順調に駒を進め、決勝で大田洋典(林金型製作所)を破り優勝した。勝因について山本は「コロナの影響で多くの出場選手が満足に練習できない状況だったようで相手に助けられた」。完全復活はもう少し先なようだ。

山本は昨年8月、指先のしびれなどに悩まされる「胸郭出口症候群」の修復手術を受けた。左右の最上部にある第一肋骨(ろっこつ)の一部を取り除くことは成功したが、「まだ筋力が全然戻ってこない」と打ち明ける。それでも、今大会を通じて現状を知る機会につながったと前向きに捉える。今後の課題は衰えた筋力をどう復活させるか。「シューティングよりも、トレーニングの比重を大きくしたい」と練習メニューを変える考えで、ゴムチューブを使って上半身を鍛えることに意欲をのぞかせた。

復調してライバルたちに競り勝ち、24年パリ五輪出場、さらに自身がまだ手にしたことのない金メダル獲得へ-。『中年の星』と呼ばれる58歳はまだまだ現役を貫き、その向上心は衰えることを知らない。