16年ユース五輪(オリンピック)金メダリストの山本草太(21=中京大)が大会2連覇を遂げた。

ショートプログラム(SP)ノーミスの首位で迎えたフリー。冒頭の4回転サルコー-2回転トーループの2連続ジャンプを美しく決め、出来栄え点(GOE)2・26点の加点を引き出した。続く4回転サルコーの回転不足、トリプルアクセル(3回転半)が2回転半になるなど課題は出たものの、転倒なく、最後まで今季プログラム「これからも僕はいるよ」を演じ切った。

フリー150・02点の合計231・73点で優勝。7月に移籍したグランプリ東海クラブで新たに師事する山田満知子、樋口美穂子の両コーチに笑顔で祝福された。「(振り付けを担当した)美穂子先生からは『ジャンプのミスとか少しあったけど、点数、最低限は出たね。失敗した割には最低限もらえたね。まだまだ伸びしろのある演技だったよ』と言っていただきました」と目を細めた。

プログラムに関しては「初披露。演技が始まってから『皆さんに初披露してるんだな』と思いながら滑りました。緊張と不安がたくさんあったんですけど、課題を見つけることができたので(この全日本予選は出場が免除されていたが)出て良かった」と納得した。

見つけた課題については「ジャンプの構成を直前に変えたので、普段の呼吸とかリズムと違って。そのギャップでスピード感とか抑えぎみになった」と説明。「4回転トーループも入っていたんですけど(跳ぶ時に突く)左足を少し痛めていたので、負荷がかかるトーループをやめて(2本目のジャンプを)4回転サルコーにしました」とイレギュラーだったことも明らかにした。

フリーに込めたメッセージとしては、盲目のイタリア人テノール歌手アンドレア・ボチェッリと、中国出身の天才ピアニストであるラン・ランが共演した曲であることから紹介。異例コラボレーションが計画された際、ためらう思いがありながらも、共演が実現して新境地を開いた楽曲には「新たな道を切り開いていく」という意味が込められているという。「自分にぴったり」と樋口コーチと確認し、計8曲ほどの候補から考えが完全に一致して決まった曲。夢である22年北京オリンピック(五輪)へ、込められた願い通り、険しいシーズンを切り開いて進んでいく。

次は10月2日のジャパン・オープン(さいたまスーパーアリーナ)出場が発表されている。「昨日はSPではレベルの取りこぼしもありましたし、ジャパン・オープンまでは日がないので。課題を先生と話し合いながら、やっていきたい」と新天地で1試合ずつ成長のステップを踏む。【木下淳】