逆転五輪に燃える男たちのサバイバルが始まる。ノルディックスキー・ジャンプ・ワールドカップ(W杯)の下部大会コンチネンタル(C)杯遠征メンバーが下克上を狙っている。最年少の二階堂蓮(20=NSC札幌)はW杯メンバー昇格、22年北京オリンピック(五輪)代表切符を目指し、30日のUHB杯(札幌・大倉山ジャンプ競技場)で表彰台に立ち存在感を示すつもりだ。

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二十歳の二階堂が下克上を狙う。C杯遠征メンバーに入り、初出場を目指す北京五輪代表への望みがわずかにつながった。五輪代表は今季のW杯個人総合上位5人。C杯で好成績を出せば、現W杯メンバーとの入れ替えの可能性がある。全日本スキー連盟は、基本的には6人のW杯メンバーと4人のC杯メンバー計10人から五輪代表を選考する考え。二階堂は「W杯につなげられるチャンスをもらった。あわよくば五輪に」と希望を抱く。

競技へ集中するため、険しい道を選んだ。昨年入学した東海大北海道を3月で退学した。シーズン中に学業との両立の難しさを感じたことも理由の1つだった。大会出場のための所属先名はあるが、個人で活動している。春先は派遣会社に登録し、ライブの設営スタッフや田植え作業のアルバイトで生活費を稼いだ。苦労もすべては五輪シーズンに備えるためだった。

恩返しを誓う。父学さん(55)はW杯31戦、91年世界選手権に出場した元ジャンパー。学さんの後輩が経営する広葉樹合板(本社・旭川市)が今季からパーソナルスポンサーとなり、支援を受ける。9月にドイツ・クリンゲンタールで行われた夏のC杯出場の際は遠征費もサポートされた。山口裕也社長(53)は「お父さんが小中学の1学年先輩だった。何か力になれることがあればと思った。若くて伸びしろがあるし、頑張ってほしい」とエールを送る。二階堂は「すごいありがたい」と感謝する。

24日まで行われた全日本選手権は、ノーマルヒル、ラージヒルともに4位だった。W杯メンバーも参戦するなか健闘したが、海外遠征前最後の国内戦となるUHB杯に向け「4位じゃなくて表彰台。優勝ももちろんしたい」。その闘志が初の五輪へ押し上げていく。【保坂果那】

◆ジャンプ男子の北京五輪代表への道 昨季と今季の世界選手権、W杯、サマーGPで(1)8位以内1度以上(2)10位以内2度以上(3)20位以内3度以上の成績を残した選手が選考対象。基準を満たした選手のうち今季W杯個人総合上位5人が代表となる。昨季からこの大会に出場していないC杯メンバーの二階堂の場合は、W杯メンバーに昇格し基準のクリアとW杯個人総合で日本勢上位5人に入る必要がある。代表は22年1月6日W杯終了時点で選ばれる。