日本(世界ランキング10位)がまたしても敵地で苦渋を味わった。7月に続き、過去1勝10敗のアイルランド(同5位)に5-60で連敗。23-32で敗れた10月23日のオーストラリア戦同様、ラインアウトで苦しみ、反則を繰り返して前半無得点と沈黙した。次戦は13日(日本時間14日)に格下のポルトガル(同19位)と敵地で対戦。23年W杯フランス大会へ、20日のスコットランド(同7位)とのテストマッチまで続く遠征で、真価が問われる。

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敵地に響く大歓声を、静めることはできなかった。欧州に乗り込んだ日本が、2週前と同じ課題を突きつけられた。開始13分で2トライ2ゴールを献上。前半18分、敵陣22メートル付近に侵入した右ラインアウトで攻撃権を失った。反撃の機会を逃し、反則を犯すと再び自陣での防戦。モールを起点に右へ大きく展開され、1分後にはWTBコンウェーに早くも2本目のトライを許した。前半終了間際には反則の繰り返しでフッカー坂手がシンビン(10分間退場)。ハーフタイム時に0-29と大勢が決していた。

敵地で勝つ-。過去最高8強入りを果たした自国開催の19年W杯と異なり、23年のフランス大会は異国での戦いとなる。秋の代表活動前、強化を担当する藤井雄一郎ディレクターは「戦術とか戦略うんぬんよりも、アウェーで勝たないといけない。アウェーでどのぐらい、自分たちの力を出せるか。チーム全体でイレギュラーに対処できるか。いろいろなスキルを学ばないといけない」と言い切った。先手を打てず、劣勢から立ち直る好機さえも手放しては、悪循環を脱せない。

10月、W杯2大会連続出場中のプロップ稲垣は「結果が出ていない時に(収穫に目を向けて)『良かったね』で終わらせてはダメ。望んでいない」と次のステージを見据えた。後半9分、自陣ゴール前でモールを押され、通算100キャップ目の相手SOセクストンにダメ押しとなるメモリアルトライを許した。歓喜に酔いしれる相手から決して目を背けず、向き合わなければいけない差がある。

戦いは続く。格下のポルトガル戦を経て、遠征の最後は強豪スコットランド戦が待つ。後半17分、途中出場のフランカー徳永のボール奪取を起点に、NO8姫野の突破から生まれたWTBフィフィタのトライ。積極果敢な日本の戦いを、今こそ見せたい。【松本航】