「あと10秒~!」。関西学生アメフトの入れ替え戦(たけびしスタジアム京都)が27日、行われて、2部1位の甲南大が1部8位桃山大に31-13で勝利。来季は18年以来4年ぶりに1部に戻ってくることが決まった。甲南大は序盤から主導権を握って試合を展開。チームはパスで2回、ランで2回のTDで圧倒した。

スタジアムに、ひときわ声が響く。サイドラインで「あと10秒~!」や「ディフェンス、頑張れ~!」とエールを送り続ける。その正体は、久門茉莉子トレーナー(4年)。選手よりも大きな声を出すスタッフだった。

声出しを始めたきっかけは、追手門学院高でアメフト部のマネジャーを務めていたときに「盛り上げるために今までしていないことをしよう」と考えて、サイドラインで声出しを始めた。

甲南大では「そんなに声出さなくていいよ」と最初は言われたが、自分のポリシーを貫いた。練習中もずっと、声を出していくと熱量が伝わり、下級生にも声出しの輪が広がった。久門トレーナーが4年になった時にはほぼ全員が声を上げてチームを盛り上げる。「何を言われても、声出しだけは続けたいと思っていました」。

試合後、彼女の周りには花束と「マリコ」と書かれた手作りうちわが観戦に訪れた友人から贈られた。「さみしいけど、うれしい。アメフトは楽しいです!」。今後もトレーナーを続けるのかは未定だが、アメフトが恋しくなったら、いつかまたグラウンドで声を響かせているかもしれない。【三宅ひとみ】