男子1000メートルで小島良太(23=エムウェーブ)が国内最高を更新する1分8秒35で優勝し、初の五輪代表権を確実にした。

2位は1分8秒58で新浜立也(25=高崎健康福祉大職)、3位が1分8秒59で森重航(21=専大)だった。女子1000メートルでは平昌五輪で銀メダルを獲得した小平奈緒(35=相沢病院)が1分14秒82で制し、こちらも代表を確実にした。

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長野五輪の開催年に長野市で生を受け、五輪会場だったエムウェーブのことは何でも知っている。4年前、五輪選考会にも出られなかった小島は初の大一番に震えた。それでもキャプテン翼の名ぜりふ「ボールは友達」と言わんばかりに「氷は仲間」と信じて、慣れ親しんだ母なるリンクを滑走した。

最終タイムではなくラップごとのタイムを意識し、落ち着くことを心がけた。入りの200メートルは16秒52で全体の7位だったが、600メートルのラップは24秒86で1位。最後のラップはただ1人、26秒台で回った。

10月の全日本距離別選手権では最終ラップが27秒61と落ち、優勝するも1分9秒10とタイムでは納得がいかなかった。「悔しかった。今日は歯を食いしばって滑ってやろうと思った」。

生粋の地元っ子。エムウェーブの滝沢信一社長(66)によると「兄の影響で、おむつをしていた頃からリンクに来ていた」といい、幼少期から高校時代まで「エムウェーブスケートクラブ」に所属した。高校は長野市内の進学校、屋代高。小平奈緒を金メダリストに育てた結城匡啓教授がいる信州大に合格するために、進学校を選んだ。

練習パートナーの小平からはカーブの入り方など吸収するところばかり。中でも自信をもらったのが「ストレートの技術が参考になる」と言ってもらえたこと。「奈緒さんにそう言ってもらえるとは思わなかった。大学時代から自信を持ってそこを伸ばそうと思えた」と振り返った。

本人たっての希望で「エムウェーブ所属」を申し出た。昨秋、小島と結城教授が滝沢社長の元を訪れ「エムウェーブの名を背負って長野市民に恩返しがしたい」とプレゼン。晴れてスポンサー契約を結んだ。リンクレコード板に名前を刻み、1つ恩を返した。次は五輪メダルで長野市を明るく照らす。【三須一紀】

◆小島良太(こじま・りょうた)1998年(平10)5月11日、長野市生まれ。屋代高から信州大を経て、エムウェーブに所属。19年全日本距離別選手権の男子1000メートルで2位。今年10月の同大会で初優勝を飾った。175センチ、74キロ。