Bシード常翔学園(大阪第1)が変幻自在の戦いで、史上3校目の「花園100勝」に王手をかけた。

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ノーシードの強豪・中部大春日丘(愛知)に対し、本来CTBの山本大悟主将(3年)をフランカーで使うなど3人のレギュラーをコンバート。8トライを奪う猛攻で花園通算99勝目だ。元日の石見智翠館との3回戦で大台を狙う。東福岡、桐蔭学園(神奈川)、東海大大阪仰星のAシードを含め、シード全13校が初戦を突破した。

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後半7分、常翔学園の背番号7が自陣から駆け上がった。フランカー山本主将は敵陣でフォローのSH田中景にパス、すかさず返しのパスを受け、ゴールに飛び込んだ。38-5。「BKみたいなフランカー」で決定的なトライを決めた。

山本が野上監督に打診を受けたのは、約10日前だった。「フランカーに入らんか?」-。本来のCTBからFWへ。今年の夏に1、2度入りはしたが「センター(CTB)にこだわりがあったし、頑固なんで」と迷った。しかし「僕、足遅いし。それに“全員ラグビー”と思ったら…で、折れました」と受け入れた。

実は仕事はさして変わらない。不慣れなスクラムは、強力な2列目までのフロント5がガンガンやってくれる。アタックには従来のCTB的に参加した。

この日はNO8の田中太もフッカーで、フッカーの大本もロックで使った。レギュラー3人のコンバートは大胆だ。だが、野上監督は「まあ適材適所。山本は仕事が増えるけど(山本より)足が速いのを1人入れて、BKが増える感じ」としれっと笑った。風上の前半はSO仲間のキックでエリアを奪い、風下の後半はキックを1度も使わなかった。定石通りのマネジメント、コンバートで増えた攻め手が8トライを呼んだ。

ボールも選手も動かし、初戦突破を決めた。そして花園通算99勝。「王手? ははは。そこはあまり考えんように」と野上監督。変幻自在な伝統校が、大台のかかる元日を迎える。【加藤裕一】

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