男子テニスで、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が5日の深夜、オーストラリア・メルボルン空港で、入国拒否にあった。同国政府は、一刻も早いセルビアへの送還を求めている。

17日に開幕する全豪オープンは、出場する全選手にワクチン接種を義務づけたが、医学的見地から、接種免除を許可する可能性も明かしていた。同大会の主催者は4日、ジョコビッチが免除許可を承認されたとして出場を発表したばかり。しかし、入国直前のどんでん返しを巡り、テニス界は大騒ぎとなっている。

ジョコビッチの特例には、多くの選手が疑問を投げかけていた。元ダブルス世界王者のJ・マリー(英国)は「自分が接種していなかったら、入国は認められなかっただろう」と話した。また、米国の著名なコーチ、アナコーン氏も「信じるしかないが、なぜ? という疑問は出てくる」とした。

逆に、世界96位で全豪で2度8強入りしたサンドグレン(米国)は「オーストラリアは4大大会を開く資格がない」と、自身のSNSでオーストラリアを痛烈に批判。どんでん返しに「これが科学的な見地か(笑い)」と、皮肉を込めた。

地元メディアによると、連邦政府は、最近、新型コロナウイルスに感染したこと(感染で抗体ができること)は、ワクチン免除の根拠にはならないと、何度も同国テニス協会に連絡をしていたという。逆に言えば、ジョコビッチは、最近、感染したことを、免除の理由にしていたとも推測される。

また、連邦政府のオーストラリア予防接種技術諮問委員会は、ビクトリア州政府や同国テニス協会が審査したプロセスを認めていなかったという報道もある。いずれにせよ、地元メディアは、ジョコビッチは早々に送還されるとしている。

◆ジョコビッチと新型コロナ 20年6月に、新型コロナウイルスの感染拡大で、世界ツアーが中断する中、実戦の場を提供するため、自ら主催者になってアドリアツアーを立ち上げた。しかし、大会のパーティーなどで参加者らがマスクをせずに密になって飲食し、多くの感染者を出した。ジョコビッチには批判が殺到し、ツアーは途中で中止された。また、男子ツアーが、ツアー大会のためにワクチン接種を義務づけることを提案した際には反対を表明。自身は、ワクチン接種の有無を明らかにしていない。