27回目の出場で栃木県勢初の決勝に進んだ国学院栃木は、東海大大阪仰星(大阪第2)に5-36で敗れた。

惜しくも優勝は逃したが、これで4大会連続で関東勢が決勝に進んだことになる。近年の高校ラグビー界で関東勢の躍進が目立つ中、その礎を築いたのが2002年から始まった関東スーパーリーグ(KSL)だ。国学院栃木の吉岡肇監督が発起人の1人で「西高東低と言われてきた高校ラグビーの縮図を打破したい」(吉岡監督)と、強豪校同士が日頃試合を重ねる場を作った。

KSLは関東の1都7県の高校の上位校から有志が集い、総当たり戦を行い順位を競う。現在11チームが参加し、国学院栃木をはじめ、3連覇を逃した桐蔭学園(神奈川)、流通経大柏(千葉)、国学院久我山(東京)といった実力校が並ぶ。コロナ禍で2年連続で開催できていないが、参加校にとってはチームの立ち位置を把握する重要な場だ。

国学院久我山の土屋謙太郎監督は「(KSLが)切磋琢磨(せっさたくま)する場所になっている」。高校時代の同期に当たる吉岡監督について「親分肌で熱く、面倒見が良い」と、大会の立ち上げに貢献した手腕を高く評価。昨年11月には花園前に合同練習をするなど交流が深い。「コクトチが決勝に進んだことで、一緒に練習した部員たちも優勝、準優勝校は決して雲の上の存在じゃないと自信を与えてくれた」と刺激を受ける。

昌平(埼玉)を指揮する御代田誠監督は、KSLに対抗しようと東日本の高校有志で15年から「ブレイブハートリーグ(BHL)」を立ち上げた。関東のみならず、静岡や宮城も加えて試合を行っている。国学院栃木の卒業生で、過去に母校のFWコーチを務めた経験もあり、恩師の言葉は全国で上位進出を目指すチーム作りに生かしている。

御代田監督 吉岡先生は常々、『県大会は瀬戸内海、全国大会は日本海に行くようなもの。大海原に出るためには、それなりの経験を積んでいなければいけない』と言っていました。

強固なディフェンスからシード校を次々と破り、決勝へと進んだ紫の壁。この日の決勝では関西の雄、東海大大阪仰星に敗れはしたが、一連の快進撃がもたらした他チームへの効果は計り知れない。【平山連】