予選勝者で世界ランキング120位のダニエル太郎(28=エイブル)が、自身初の4大大会3回戦に進出だ。元世界王者で、2度の五輪金メダルのアンディ・マリー(英国)に6-4、6-4、6-4のストレート勝ち。「とても興奮している。鳥肌が1回か2回、立った。本当にうれしい」。全豪での日本男子の3回戦進出は、68年オープン化(プロ解禁)以来、錦織圭、西岡良仁に次いで3人目。次戦では同10位のシナー(イタリア)と同104位のジョンソン(米国)の勝者と対戦する。

何と、マッチポイントは、この日初めて見せたダニエルのサーブからのボレーだった。「1回試してみてもいいかな」と、さらっとやり遂げ、バックボレーが決まった。第3セット、足にけいれんが来ていたが、意に介せずに乗り切った。

股関節のけがで、世界113位と、世界ランクを落としているとはいえ、マリーはビッグ4の1人だ。昨年本格的に復帰。全豪の前哨戦シドニー大会では、19年以来、3年ぶりのツアー決勝に進み、最盛期を思わせる鉄壁の守備で、今大会1回戦も勝ち上がっていた。その守備を、ダニエルは、マリーを上回る12本のサービスエースと、46本の決定打で打ち破った。マリーが4大大会で、世界100位以下に敗れたのは初めて。

ダニエルと言えば、4大大会に挑戦し始めた15年前後は、典型的な粘りの守備型。安定とカウンターが武器だった。191センチの長身ながら、サーブも回転過多で入れるだけだった。初の4大大会予選への挑戦が14年全豪だ。それから8年。攻撃的なスタイルを取り入れようとしては失敗し、攻守の切り替えが分からなくなり、紆余(うよ)曲折。「無意識に感覚でできるようになった」と、ようやく攻めと守りのタイミングをつかみ、「全然、自分でもできる可能性がある」と、大きな飛躍の好機をつかんだ。

父が米国人、母が日本人で、米ニューヨークで生まれた。名古屋国際学園中在学中に、テニスのために家族でスペインに移住。テニス王国でプレーの基礎を築いた。日本語、英語、スペイン語に加え、ロシア語も少し話すというトリンガルならぬクアドリンガル。国際色豊かなダニエルが、「結果が出たからといって、気取っちゃいけない」と、気を引き締め、快進撃につなげる。

◆全豪オープンテニスはWOWOWで全日生放送、WOWOWオンデマンドとテニスワールドで全コートライブ配信される。