世界のスポーツ界が、ロシアのウクライナ侵攻に「ノー」を突きつけた。サッカー界では、元ウクライナ代表FWの“英雄”アンドリー・シェフチェンコ氏(45)をはじめ、ロシア代表選手も侵攻に反対する意思を示した。欧州サッカー連盟(UEFA)は5月28日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝の会場をロシアからフランスに変更した。ラグビーの23年ワールドカップ(W杯)予選を兼ねた欧州選手権は27日の試合の延期が決まった。スポーツ界が「戦争反対」で団結を強めている。

サッカー界で「ロシア包囲網」ができつつある。シェフチェンコ氏の「国民と私の家族が攻撃にさらされている。どうか私たちの国を支援し、ロシア政府に彼らの侵略と国際法違反を止めるよう呼びかけてください」という訴えに呼応するように、各地で“反戦”へ向けた行動が加速した。

バルセロナとナポリの選手たちは欧州リーグ(L)の試合前、ピッチに集合。「STOP WAR」の横断幕を掲げた。アタランタのウクライナ代表MFマリノフスキーは欧州Lオリンピアコス戦での得点後「NO WAR IN UKRAINE」と書かれたアンダーシャツを披露した。日本代表DF板倉滉所属のドイツ2部シャルケはロシア企業「ガスプロム」社の名前をユニホームから外した。ロシア代表エースでディナモ・モスクワ所属のFWスモロフは自身のインスタグラムに真っ黒な画像をアップ。「戦争はいらない」と記した。

UEFAは25日、ロシア国内での大会開催を見直した。5月28日の今季欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝をサンクトペテルブルクからフランスのサンドニに変更すると発表。3月にW杯欧州予選プレーオフでロシアと対戦するポーランド、可能性があるスウェーデンとチェコの3協会は連名で「ロシアで試合は考えられない」と開催地変更を要求。国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長は「喫緊の課題」と検討に入った。

ラグビーではジョージアで27日に開催予定だった23年W杯予選を兼ねた欧州選手権、ジョージア-ロシアの延期が決まった。国際スキー連盟(FIS)は、今後ロシアで開催予定のW杯6大会を中止か、代替地開催にすると発表した。

3月4日には北京パラリンピックが開幕する。国際パラリンピック委員会(IPC)は「ロシアのオリンピック(五輪)休戦協定違反を非難する」と声明を発表。パーソンズ会長はウクライナの会長の反応として「出場希望だが、チームを北京に送るのは大変な挑戦と話していた」と出場できない可能性を示した。暴挙に出たロシアに対し、スポーツ界は断固とした行動を示していく必要がある。