今季で現役を引退する14年ソチ五輪団体銅メダルの伊東大貴(36=雪印メグミルク)が、現役最後の国内試合を有終の美で飾った。合計249・2点で優勝した。試合前に札幌市内で行われた会見では「悔いのない素晴らしいジャンプ人生だった」と万感の思いをあふれさせた。4月からは所属先のコーチに就任し、指導者の道をスタートさせる。

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同じ下川町出身のレジェンドからの“喝”に奮い立ち、手にした銅メダルだった。14年ソチ五輪は大会前に左膝裏を痛めていた。膝を伸ばすことも曲げることもできない状態。周囲に負傷を隠したが、相部屋だった葛西紀明にだけは相談した。「万全ではない自分は辞退した方が良いのではないか」。すると厳しくこう言われた。「俺だったら痛み止めを飲んででも絶対に出る」。諦めそうになっていた心に火がついた。毎日トレーナーによる治療に励み、ラージヒルそして団体に間に合わせた。

1回目3位に立った団体の2回目直前の控室。葛西による音頭で円陣を組んだ。「今までいろんなチャンスをものにできなかった。運やみんなの調子が合わなかった。今回は借りを返すぞ」の掛け声で気合を入れた。06年トリノ五輪からずっと一緒に過ごしてきて、初めて見る姿。「メダルを取りに行こうという気持ちが伝わった」。そんな葛西に鼓舞され、伊東は2回目132メートルを飛んだ。着地後膝の痛みに襲われた。踏ん張りきり、採点のラインを越えてから倒れ込んだ。

そんな尊敬する先輩に現役引退を報告した。優しくハグされ、労ってくれた。【保坂果那】