4大大会4度の優勝を誇る世界77位の大坂なおみ(24=フリー)が、21年全豪以来の優勝を逃した。

同2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)に4-6、0-6のストレートで敗れ準優勝だった。しかし、約1年1カ月ぶりの決勝進出に「もっと練習して、できるだけ多く、このような舞台に立ちたい」。今大会の準優勝で、4日に発表予定の最新世界ランキングでは、36位にまで上昇する予定だ。

完全に大坂の自滅だった。第1セット。相手は第1サーブが入る確率が39%と苦しんだ。しかし、速度が落ちた第2サーブに対し、大坂はリターンでミスを繰り返した。決して威力のない第2サーブに対し、30%以下でしか得点が奪えなかった。

逆に、自分の第2サーブに、相手のリターンで圧力をかけられ、2オールから自分のサービスゲームを落とした。第1セットを4-6で失うと、第2セットはすでに抜け殻状態。1ゲームも奪えずに敗れた。

課題は、リターンへの考え方だ。大坂は、相手の第2サーブで、自らのリターンを、ベースラインから内側で位置して構えることが続いている。速度が遅い第2サーブに対し、速くたたいて主導権を握る作戦だ。

ただ、これはもろ刃の剣だ。うまくいけば、相手の構える時間を奪い、リターンの速度で圧力もかけられる。しかし、サーブのバウンドする位置が近くなり、速度が落ちないうちにたたかなくてはならない。タイミングを取るのが難しい。

また、ベースラインより内側に立つため、自分が打ったリターンを相手に深く返球された場合、後ろに下がりながら処理しなくてはならない。これでは球に力を与えるのが難しくなり、威力も落ちる。

この日の大坂は、悪いパターンに落ち込んだ。ならば、第2サーブに対し、ベースライン上まで下がって、安全に返球する道を選ぶ選択肢もある。しかし、大坂は、第1セットの最後まで、その作戦に固執し、ミスを重ねた。

それでも、相手は、2週前の米インディアンウエルズ大会も制し、今大会後に初めて世界1位に輝く、最も勢いのある選手だ。ようやく不調から戻ってきた大坂とは、まだ力の差はある。その差を、この先、どのようにして縮めるかが、真の復活のカギとなる。