今季2冠獲得の原動力となった終盤まで衰えないパフォーマンスには、水素の力があった。バレーボールVリーグ男子1部サントリーは5日、黒鷲旗全日本選抜大会決勝でジェイテクトを3-0で破り、9度目の優勝を連覇で飾った。同じく連覇したリーグに続き今季2冠を達成。その原動力となったのは、新鮮な酸素と水素を両方吸収できる「水素カプセル」の導入。選手たちの疲労回復につなげた。

水素カプセルは金属加工などを展開する東京・エイム社が製造し、疲労回復に効果があると言われる水素と酸素を同時に吸収することができるのが特徴。従来の酸素カプセルの機能を上回る独自技術を取り入れた。1時間の水素浴で500ミリリットルのペットボトルの水素水約38万本分の水素を全身から浴びることができるという。

サントリーはリーグ戦終盤の今年4月、リカバリールーム内の一角に水素カプセルを設けた。コロナ禍で試合中止・延期が相次ぐイレギュラーな日程の中で、けが人や体調を崩す選手・スタッフの支えになりたいと導入した。レギュラーシーズン2位で終えたリーグ戦では、プレーオフで勝ち上がり2季連続9度目の優勝につなげた。

水素カプセルの効果を実感する1人が、アウトサイドヒッターの藤中謙也(28)だ。2月下旬に練習中に全治4週間の右足首の捻挫を負ったが、完治を待たずにシーズン終盤戦でコートに戻ってきた。「少しでも回復に役立つなら」と、時間のある限り水素カプセルに入った。「けがを抱えながらもシーズン終盤の大事な試合でしっかり動けたのは、水素カプセルのおかげだと思います」。

元日本代表の柳田将洋(29)は「自分自身だけでなく選手全員のコンディションの調整に役立っていて、とても助かっています」。2連覇に導いた山村宏太監督も「水素カプセルに入った後の選手の表情を見ると、皆スッキリしていたり表情が明るく笑っていたりと、それぞれ良い効果を感じているのだなと思っています」とコメントした。

スポーツ界ではまだ導入例は少ないという水素カプセル。製造した同社の担当者は「最後の最後で大逆転に貢献できたことがうれしい」。今月14日からイラン・テヘランで始まるアジアクラブ選手権に臨むサントリーの3冠獲得を期待している。【平山連】

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