世界女王の藤波朱理(18=日体大1年)が、節目の公式戦100連勝を達成した。

決勝で17、18年世界選手権優勝の奥野春菜(23=自衛隊)に4-0で勝利。中学2年の17年9月から積み重ねてきた連勝記録を、新型コロナウイルス感染拡大による試合数減も乗り越えて3桁の大台に乗せた。

「記者の方から連勝について言ってもらえることが多くなったんですけど、私にとっては過去のことで。大事なのはこれから。マットに上がれば関係ない! と思って集中できました。でも、負けたらどうしよう…って気持ちもないと言ったらうそになります。その不安を消すために毎日練習してきました。成長は見せられたのかなと思います」

準決勝では片岡梨乃(早大)に10-0のテクニカルフォール勝ち。わずか1分45秒で圧倒した。初戦の準々決勝も1分41秒で完勝。佐々木花恋(日大)に6ポイント獲得からのフォール勝ちで決勝に進んでいた。

日本協会が公認している藤波の連勝記録は、大会前時点で「97」。中学2年の夏を最後に負けておらず、全日本女子オープン選手権(中学生48キロ級)優勝から白星だけ積み上げてきた。

昨年は史上5人目となる高校生での世界女王に。その世界選手権(昨年10月)もアジア選手権(今年4月)も、各4試合すべてテクニカルフォール勝ち&無失点と無敵の強さを誇る。24年パリ五輪(オリンピック)に向けては「無敗でパリまで行って金メダルを取る」との目標を定めている。

大会前の本紙インタビューでは「金メダルを父の日(翌19日)に贈ります」と約束。同大学コーチで、三重県から上京した今春から2人で暮らすセコンドの父俊一さんとの明治杯2連覇と100連勝。父が「今まで何かもらったことが1度もない…」と苦笑いする中で成果をプレゼントした。

女子レスリング界では五輪3連覇の吉田沙保里が個人戦206連勝、同4連覇の伊調馨が不戦敗を除き189連勝の記録を誇る。吉田と同じ53キロ級の藤波にとって歴代3位も通過点だ。

「連勝のプレッシャーと言っても(日体大で指導を受ける)馨さんと比にならないですし、沙保里さんは沙保里さんで自分は自分」

これで2連覇が懸かる世界選手権(9月、セルビア)代表にも内定。18歳の新女王がレジェンド2人を追いかけていく。【木下淳】

◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日、三重県四日市市生まれ。88年ソウル五輪代表候補だった父俊一さんの影響で4歳から競技を始める。いなべ総合学園高から今春、日体大に進学。伊調馨の指導も受ける。総合格闘家の兄の勇飛(26)も元選手で17年の世界選手権男子フリースタイル70キロ級で銅メダル獲得した。最愛の母は三重県で暮らす。大学の同じクラスには北京五輪スノーボード・アルペン女子日本代表の三木つばきがいて仲良し。164センチ。