日本(世界ランク6位)がフルセットの激闘の末に2-3(25-18、25-18、22-25、25-27、13-15)で、強豪ブラジル(同2位)に敗れ、惜しくも4強入りを逃した。

石川真佑(22)が攻撃、守備の両面で大活躍。石川のサーブで崩し、序盤から得点を重ねた。

昨夏の東京オリンピック(五輪)銀メダルのブラジルに第1、第2セット(S)は1度もリードを許さなかった。最後まで粘りながらも、あと1歩、及ばなかった。

右足首捻挫から復帰したエース古賀紗理那(26)は第3Sの途中から出場した。

準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(共同)

試合後コメント

真鍋政義監督(59)

最後はブラジルの勝負強さに負けました。これもいい勉強。選手たちは本当に頑張りました。一丸になりましたけど、これがベスト4の壁。初めて経験する選手も多いので、この悔しさを来年につなげたい。勝ちたかったですね。これが世界のトップ。勉強です。特に終盤はブラジルは強かった。死のグループを(予選)3位で通過して、大一番でこれだけできたのは自信を持っていい。

古賀紗理那(26)主将

最終的には敗戦してしまったのですが、チームとしてこの大会を通して成長した部分がすごく出たかなと感じます。チームとしての成熟度は最初、集合した時よりも高くなった。そこが日本の強みになりました。(来年以降)また厳しい戦いが続きますけど、今年は収穫がたくさんあったシーズン。私より年下の選手がたくさんいる中で、大会を通して成長しましたし、個々も成長しているのを外から見て感じることができました。日本からたくさんの人が声援を送って頂いて、それが私たちの力になったので感謝でいっぱいです。選手、スタッフが一致団結して今日までしっかり戦うことができた。次のシーズンが1番大事。パリに向けて切符を取る意味ではすごい大切。ここ(世界選手権)でできたことを、さらにステップアップして、次の年につなげていけたらなと思います。


【世界バレー】日本がオランダ下し3位で決勝Tへ「この勢いでブラジルを倒したい」井上愛里沙




日 本25-18
25-18
22-25
25-27
13-15
ブラジル


第1セット

石川の活躍が光り、日本が第1セットを先取する。まずは石川のレシーブから井上愛里沙(27)が決めて1-0。関菜々巳(23)、石川の好レシーブから林琴奈(22)のアタックが決まって2-0。主導権を握った日本は、ここから1度もブラジルにリードを許さず。石川のサービスエースで9-5。石川のサーブでブレイクし、島村がダイレクトで決めて10-5。石川のバックアタックは一度はアウトの判定も、真鍋監督のチャレンジが成功し11-6。山田のブロックで13-7と6点差にしてから、ブラジルが3連続得点で13-10。今度は日本が3連続得点で16-10とするも、ブラジルも4連続得点で16-14と2点差に迫られる。山田がライトから決めて17-14とし、石川、井上のアタックで再び日本が差を広げる。石川のサーブで崩し、林が次々とポイントを重ねる。終盤は林の連続得点で第1セットを先取した。


第2セット

石川のサーブから。林がライトから決めて1-0。井上が決めて2-0。島村のクイックで3-0。このセットも石川のサーブから、日本が指導権を握った。一度は5-5と同点に追いつかれるも、勝ち越しは許さず。日本の3連続得点で8-5。山田の移動攻撃で9-6とする。関のツーアタックが決まって10-7。石川が左手でつないでラリーとなり、最後は石川のバックアタックで13-8。ガビのバックアタックを山田がブロックで止めて18-10と日本がリードを広げる。バックアタックなど井上の連続ポイントで20-14。石川のクロスで21-15。慌てたブラジルに連続でミスが出て、日本が23点目。ライトから林のアタックが決まって24-18、日本がセットポイントを迎える。最後は山田のブロックで2セットを連取した。

準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ石川真佑(共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ石川真佑(共同)

第3セット

このセットはブラジルが序盤からリードする展開になった。1-1からブラジルのポイントで1-2。この試合、日本は初めてリードされる。2-3から山田のブロード攻撃で3-3。3-5から山田のアタックがブロックアウト。井上のバックアタックで5-6。石川のクロスで6-7の判定も、日本のタッチネットでブラジルのチャレンジが成功し5-8。日本は石川、福留の素晴らしいレシーブから、最後は石川のバックアタックで7-8と1点差。しかしブラジルの3連続得点で7-11とされる。ここで真鍋監督は故障明けのエース古賀紗理那(26)を、この試合初めてコートに投入した。林のサービスエースで10-12。山田のブロードで12-14と食らいつく。古賀のバックアタックで13-15。島村がダイレクトで押し込んで14-17。16-19からガビのアタックを山田がブロックで止めて17-19。4点差とされてから古賀が決めて18-21。互いに執念のラリーは最後、ブラジルのポイントとなる。ブロックポイント、アタックと石川の連続得点で21-23。再び石川が決めて22-24。最後はブラジルに決められ22-25でこのセットを落とした。

第3Sまで日本は林と山田がそれぞれ12得点、石川が11得点、井上が9得点。

準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(Volleyball World提供・共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(Volleyball World提供・共同)

第4セット

石川のスパイクレシーブから井上が決めて1-0とする。福留の見事なレシーブが得点につながり2-1。山田のクイック、林のサービスエースで4-2。ガビの連続得点で5-4。5-5と同点にされても、山田のブロックで勝ち越しは許さない。石川が決めて8-5。1点差にされると、今度は井上のバックアタックで9-7。ここからブラジルの連続得点で9-9、再び同点。世界最高選手の1人、ガビに決められ勝ち越される。9-11かた石川のアタックがブロックアウトで10-11。石川のアタックはアウトの判定も、真鍋監督のチャレンジ成功で11-12。井上が決めて1点差で粘る。ブラジルのオーバーネットで13-13。林が決めて14-14。山田のポイントで15-15。井上のバックアタックはブラジルのチャレンジ失敗で16-15。16-16と互いに譲らず、山田のアタックで17-17。2点リードされてから、ネット際、島村が押し込む。粘る日本は19-19に追いつく。石川がレフトから決めてついに20-19と勝ち越し。この時点で山田が16点、石川が15点。00年生まれの2人がチームを引っ張っている。20-20とされてから再び石川がライトから21-20。意地と意地がぶつかり21-21。林の強烈なスパイクで22-21。22-22から、関のバックトスからまた林で23-22。ガビの得点で23-23。先にブラジルがセットポイントを迎えると、日本がタイムアウトを選択。山田が決めてジュースに持ち込む。山田のブロックで再び25-25のジュース。ここで古賀がコートへ。最後はブラジルの連続得点。25-27でセットカウント2-2となった。


第5セット

レフトから林のアタックで1-0。2-2から井上のアタックで3-2。ブラジルのアタックがアウトとなり4-2。ブラジル連続得点で4-4。林のナイスレシーブから井上が決めて5-4。同点とされてからブラジルのタッチネットで6-5。6-6からサーブで崩され、勝ち越される。連続得点を許し6-8。長いラリー、最後は石川が決めて7-8。日本は必死に食らいつく。福留が執念で拾い、また石川が決めて8-8の同点。林が決めて9-9。日本のブロックがアウトとなり9-10。日本が粘り10-10。10-12とされると、真鍋監督がタイムアウトを選択し「最後は気持ちだから!」とゲキを飛ばした。井上のアタックはブロックに阻まれて10-13。林が押し込んで11-13。ブラジルがマッチポイントを迎える。12-14からエース古賀がコートへ。山田のブロックポイントで13-14の1点差。最後、粘る日本は石川のアタックが阻まれる。大健闘しながらも、日本はベスト4入りを逃した。

準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ石川真佑(共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ石川真佑(共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(共同)
準々決勝のブラジル戦でスパイクを放つ林琴奈(共同)
古賀紗理那(2022年8月21日撮影)
古賀紗理那(2022年8月21日撮影)
石川真佑(左)と山田二千華(8月21日撮影)
石川真佑(左)と山田二千華(8月21日撮影)
石川真佑(8月21日撮影)
石川真佑(8月21日撮影)

【日本のスタメン】

〈セッター〉

関菜々巳(23=東レ)

〈アウトサイドヒッター〉

林琴奈(22=JT)

石川真佑(22=東レ)

井上愛里沙(27=久光)

〈ミドルブロッカー〉

山田二千華(22=NEC)

島村春世(30=NEC)

〈リベロ〉

福留慧美(24=デンソー)


◆女子世界選手権・日本代表登録メンバー(背番号、ポジション、選手名、年齢)

2 アウトサイドヒッター 内瀬戸真実(30=埼玉上尾)

3 アウトサイドヒッター 古賀紗理那(26=NEC)

4 アウトサイドヒッター 石川真佑(22=東レ)

5 ミドルブロッカー 島村春世(30=NEC)

10 アウトサイドヒッター 井上愛里沙(27=久光)

12 セッター 籾井あき(21=JT)

15 アウトサイドヒッター 林琴奈(22=JT)

19 ミドルブロッカー 山田二千華(22=NEC)

22 リベロ 福留慧美(24=デンソー)

23 ミドルブロッカー 横田真未(24=デンソー)

26 アウトサイドヒッター 宮部藍梨(24=ヴィクトリーナ姫路)

30 セッター 関菜々巳(23=東レ)

37 アウトサイドヒッター 宮部愛芽世(20=東海大3年)

38 アウトサイドヒッター 佐藤淑乃(20=筑波大3年)



◆女子世界選手権

オランダとポーランドの共催で24カ国が参加。1次ラウンド(R)は6カ国づつ4組に分かれて総当たりで戦い、各組上位4カ国の計16カ国が突破。2次Rは8カ国が2組に分かれ、1次Rで対戦していない4カ国とのみ対戦し、上位4カ国が8強へ。3次Rからトーナメント制となり、2次Rで同組の1位と4位、2位と3位が準々決勝を戦い、勝者が準決勝へ。テクニカルタイムアウトなし、リクエストできるタイムアウトは1セット2回まで。

決勝は10月15日、オランダ・アペルドールン。