ショートプログラム(SP)7位の佐藤伊吹(22=明治大)が、最後の全日本選手権(12月21~25日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)出場を決めた。

全日本進出は上位7人。当落線上で迎えたフリーで3位の107・91点を記録した。合計157・79点で総合3位に浮上し「3位になれると思っていなかったので、びっくりしています。『練習を頑張ってきて良かった』という気持ちです」と笑顔を見せた。

演技前、焦りはなかった。

練習してきたことを全て出せば、大丈夫-。

そう信じてリンクに立った。

冒頭のダブルアクセル(2回転半)-3回転トーループ成功で流れに乗ると、回転不足などがありながらも7つのジャンプを着氷させた。3つのスピンとステップは全て最高のレベル4。練習は裏切らなかった。

明治大の4年生はシーズン前、今季限りでの現役引退を決めた。

「スケートは一区切り。社会に出ると決めました。ここまでずっとスケート一筋できたからこそ、新しい世界を見てみたい気持ちが強かったです。その自分の好奇心で(進路を)決めました」

感情的になるラストイヤー。それでも「最後だから…」という特別な思いをしずめ、平常心で臨んだ。つかんだ全日本の切符は何物にも代え難い価値がある。

「いつも全日本に出ると、演技が終わって、あいさつをする時に上を見上げます。そこにたくさんのお客さんがいて、拍手をしてくださる。今回もできるだけ、たくさんのお客さんが立って拍手をしてくださる姿を見られるように、それを楽しみに頑張ろうと思います」

次の目標は全日本選手権のフリー進出。SPを集中的に磨き上げ、1カ月半後の大舞台に備える。【松本航】