NECレッドロケッツが下克上を達成した。レギュラーラウンド(RR)首位の東レアローズを3-2で下し、6季ぶり7度目の優勝を達成。

RR4位からの逆転制覇は、1995-96年シーズンにユニチカ・フェニックスが達成した記録と並ぶ、27季ぶり2度目の下克上となった。昨年末の皇后杯に続き、今季2冠を達成した。

東レとの対戦成績はRRで1勝2敗。15日まで開催された、RR4強の総当たり準決勝リーグ「ファイナル4」の初戦で対戦した際には、ストレート負けを喫していた。だが、後がない状況から、久光、埼玉上尾と格上を次々と撃破し、2連勝でファイナル進出を決めた勢いはこの日も健在だった。

日本代表でキャプテンを務める古賀紗理那が、序盤から全開。今季のサーブ賞を受賞したエースは、サービスエースを決めてチームを活気づけた。上野、島村らも続き、第1セット(S)を25-23で奪取。第2Sも緩急を付けた攻撃でリードを広げ、相手のミスも誘った。最終的には25-14と寄せ付けなかった。

第3、4Sは一転。東レの猛反撃にあい、それぞれ20-25、22-25で失った。最終Sも、12-14まで追い詰められた。万事休すかと思われたが、選手は諦めていなかった。タイムアウトを挟んだのち、4連続得点に成功。最後は、山内がブロックを決めた。

アタック決定率4位、ブロック決定本数10位、サーブレシーブ成功率10位と、チームとしては決して秀でた数字を誇るわけではない。それでもチーム一体のディフェンスで、石川真佑、ヤナ・クランといった屈指のアタッカーを誇る東レ攻撃陣を封じこめた。

緊迫感が漂う中、選手には笑顔が絶えなかった。古賀は「みんなが苦しい展開の時にカバーしてくれる」と常に感謝を忘れない。前日会見で主将の古谷は「天皇杯の時からコミュニケーションが1人1人と密になった。ここまで来られた理由」と言った。まさにチーム一丸でつかみ取った栄冠だった。【勝部晃多】