全日本選手権5度優勝の小松原美里(31)尊(32)組(倉敷FSC)は、複雑な心境の中で公式練習を行った。

練習に入る直前のこと。ドーピング問題が発覚したカミラ・ワリエワ(ロシア)が22年北京オリンピック(五輪)で記録した得点が無効となり、日本の団体のメダルが銅から銀に繰り上がることが知らされた。

その時、練習直前ということもあり、2人は「おめでとう」と落ち着いたトーンで伝え合うにとどめた。

美里は「かなり時間がたっていることもあって、実感はない」とした上で「クリーンな、健やかな選手達で大会ができればという思いが強いので、これを機に考えるきっかけになったらいいな」と、率直な思いを告白。

尊は「少しのおめでとうという気持ちはあるけど、この大会に集中してから考えようと思っている」と2年の歳月を経ての繰り上げに、わずかに戸惑いを示した。

五輪期間中にドーピング問題が発覚したため、現在までメダルは届いていない。

取材の終わり際、美里は「あと1つだけいいですか」と自ら切り出し「団体のみんなが、今いろんな所にいるんですけど、みんなで円陣、ハグしたいです!」とした。遠方にいる仲間へ向けたメッセージ。尊も隣から「乾杯するとかね」と加えるなど温かい言葉を残し、会場を去って行った。